
『街場の教育論』 内田樹 ミシマ社
講演の後でときどきこんな質問をされます。
「泉田サンが考える理想の施設ってどういったものですか?」
「そいういう難しい質問はやめってくれんかのう」と思いながらも、「お年寄りが笑顔で暮らし、いいケアができて、職員が笑顔でイキイキと働いている施設」と答えます。
すると「それはどうやったらできるのですか?」と聞いてくる人がいます。
「うーん、それは2時間前に話したグレードアップケアをひとつひとつやっていけば達成できるんだよ」と頭の中で思いながら、つぎのような話をします。
「スタッフがイキイキと仕事をする環境をととのえる、スタッフがやりがいが持てる職場をつくることですね」と。
内田樹の『街場の教育論』にこう書かれていました。
教育をケアに置き換えて、教員、教師をケアスタッフに置きかえて読んでみてください。
「教育改革の成否は、教育改革を担うべき現場の教員たちをどうやってオーバーアチーブへと導くか。彼らのポテンシャルをどうやって最大化するかにかかっています。
では、どうやってか。教員たちを上意下達組織の中の「イエスマン」に仕立てることによってでしょうか。厳格な勤務考課を行って、能力主義的「格付け」を行うことによってでしょうか。経験豊かなビジネスマンであれば、そのような人事管理政策は『コスト削減』や『不確定要素の排除』はもたらしても、『パフォーマンスの向上』には結びつかないことを知っているはずです。
私たちの国の教育に求められているのは、『コスト削減』や『組織の硬直化』ではありません。現場の教員たちの教育的パフォーマンスを向上させ、オーバーアチーブを可能にすることです。それに必要なのは、現場の教師たちのために『つねに創意に開かれた、働きやすい環境』を整備することに尽くされる、というのが私の意見です。」(『街場の教育論』20ページ)
ビジネスをやっていれば当たり前にわかることなのに、ビジネス書や経営セミナーが好きな理事長、施設長にかぎって、ケアをよくするための最も大切なことをおろそかにしている人が多いんですよね。
もったいない話です…。
そういう理事長、施設長は、自分の施設の組織がガタガタ、ケアもイマイチなことは気づかずに、キャリアラダー作成、人事考課を一生懸命やって、「うちにはこんなシステムがあるんですよ」と的はずれな自慢をしがちです。
グレードアップケアは何を目的にしているのか?
その一つは「創意に開かれた働きやすい環境を整備すること」です。
(泉田照雄)
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