2018年2月24日

◆ほぼ毎週水曜日掲載 今週の本&DVD  『美術手帖2012.08 写真2.0』 

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『美術手帖2012.08 写真2.0』 

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 20代の頃、毎月のように『美術手帖』を買っていた。

 カウンターカルチャー、アンダーグラウンドといった言葉がまだ生きていた頃の話だ。

 アートは時代や社会に対する強烈なアンチテーゼ(今じゃこんな言葉使わないよな)、対立するものだった。

 演劇、映画、絵画、写真、いたるところに社会に対する対立(カウンター)があり、新しい感覚があった。

 アートがもたらす新しい感覚が自分の感覚をエキスパンドするようで楽しかった。

 エキサイティングって感じだった。

 小劇場に通ったり(転形劇場が好きでよく行ったなぁ。大杉漣が出てましたね。)、アートエキシビションにも出かけたりした。

 友人の何人かは、新しい感覚、新しい世界を求めてインドやニューヨークへ旅立っていった。

 歳をとるにつれ、アートがもたらす感覚は、先鋭的なものに加えて自分の中へ深くおりていくようなものが加わっていった(当たり前ですけどね)。

 フォトグラファー・川内倫子のインタビューが載っていたので、2年ぶりくらいに『美術手帖』を買った。

 20代の頃にように貪欲にアートを見ることはないけれど、アートからも物事が一瞬にしてつながったり、解決したりする「ひらめき」を得たいと思う。

 そこには実生活や仕事からは得られない「ひらめき」があるのが楽しい。

(泉田照雄)

※関連記事

◆京都で写真家の木村伊兵衛展に立ち寄りました。

2018年2月21日

毎週水曜日連載『全国高齢者ケア研究会先進事例レポート休載のお知らせ

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いつも、毎週水曜日連載『全国高齢者ケア研究会先進事例レポート』をお読みいただきありがとうございます。

今週の掲載は諸事情により休載とさせていただきます。

次回は2月28日 大分県 百華園さんからのレポートです。

よろしくお願いします。

毎週水曜日連載『全国高齢者ケア研究会先進事例レポート 認知症ケース第62回 前頭側頭型認知症の症状が出ていて、帰宅願望が強かった方が「代替行動」の提供により落ち着いた事例(東京都 フェローホームズ)』

◆認知症カンファレンスシートがV24になりました。ダウンロードしてお使いください。

◆かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)が発表されました。

2018年2月20日

◆毎月20日掲載 第182回 『高齢者のためのおいしいソフト食』 「れんこんまんじゅう・たたきごぼう」 特別養護老人ホーム 鈴鳴荘 大分県国東市

menu

・ 玄米ミキサー粥

・ れんこんまんじゅう

・ キャベツと鶏肉の炒め物

・ たたきごぼう

・ 味噌汁(ほうれん草)


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れんこんまんじゅう

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-材料-(1人分)

水煮蓮根      20g

冷凍里芋      30g

人参         15g

薄口醤油      2g

砂糖         1g

(和風あん)

薄口醤油      3g

みりん        3g

出し汁        20g
 
ソフティアS     適量


-作り方-

① 蓮根、里芋、人参はやわらかくなるまで蒸しておく。

② 蓮根を同量のだし汁とミキサーにかけなめらかになったら鍋に移す。重量を計っておき、1%のソフティアGを入れて火にかけ、85℃以上になるまで加熱する。トレーにクッキングシートをしいた上に流し入れて冷やし固める。

③ 人参も同量のだし汁とミキサーにかけ、蓮根と同じ作業をして固めておく。

④ 里芋は2倍のだし汁とミキサーにかけなめらかになったら鍋に移す。重量を計っておき、1%のソフティアGを入れて火にかけ、85℃以上になるまで加熱する。流し缶に入れて、固まった蓮根と人参を小さく切ったものも入れて均一になるようにスプーンで混ぜてから冷やし固める。

⑤ 薄口醤油、みりん、だし汁を合わせて火にかけ、沸騰してから火を止めてソフティアSでとろみをつけて和風あんを作っておく。

⑥ ④の里芋が固まったら切り分けてお皿に盛り、⑤の和風あんをかける。


ワンポイント

人参と蓮根を先に固めないといけないことと、里芋に厚さがあるので固まるのに時間がかかります。一番先に作り始めるといいと思います。




たたきごぼう

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-材料-(1人分)

ごぼう       30g

酢         4.5g

砂糖        6.5g

塩         0.3g

出し汁      30g


-作り方-

① ごぼうの皮をむき、適当な大きさに切ってから水に浸けておく。

② 鍋に水をきったごぼうがひたひたと浸かるくらいの水を入れ、酢(分量外)と塩ひとつまみを入れてやわらかく煮る。ミキサーに茹で汁とごぼうを入れてなめらかになるまで撹拌する。重量を計り、1%のソフティアGを入れて85℃以上になるまで加熱する。流し缶に厚さ1センチになるように流し入れて冷やし固める。

③ 酢、砂糖、塩、だし汁を合わせてソフティアSでとろみをつける。

④ 固まったごぼうを切り分けてお皿に盛り付け、③のあんをかける。


ワンポイント

②の工程で煮汁と一緒にミキサーにかけるので、熱いまま入れるとスイッチを入れた時にふきでやすいので、粗熱がとれてからミキサーにかけることをお勧めします。



特別養護老人ホーム 鈴鳴荘   栄養課  榎田 真弓

毎週月曜日連載『ハピネスオブライフ~暮らしの楽しみを求めて~』 第235回 「地域文化祭に参加しました」(国東市特別養護老人ホームむさし苑)

全国高齢者ケア研究会では、「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」をケアの目的の一つとして提案しています。  

 利用者の笑顔のある暮らし、喜びを感じられる毎日を「積極的に」つくりだすケアのことです。

   全国高齢者ケア研究会では、入居者の痛みや苦しみをやわらげおだやかに暮らしていただくことをめざす「平穏ケア」と「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」が、ケアの目的だと考えています。

 毎週月曜日に全国高齢者ケア研究会のメンバーで行われている「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」の取り組みを紹介していきます。   

 各施設は「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」を目標に、お年寄りが、「穏やかでそして笑顔で」暮らしていただけるよう取り組んでいます。

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むさし苑は、毎年、区長さんよりお声をかけていただき、同地区にある武蔵町糸原の文化祭に参加し、ご利用者の作品を展示しています

今年も、ご利用者の方も文化祭に展示すると聞き、制作に熱が入ります。

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( デイサービス・グループホーム・地域密着型特養ご利用者展示物作成中の写真 )

一方職員は、過疎化、高齢化が進んだ糸原地区の文化祭を盛り上げるべく、むさし苑の多職種連携チームによる「 ひょっとこ隊 」を編成し出動しました。

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施設内では恒例の「ひょっとこ隊」ですが、今回は、ひょっとこのお面とふんどしをこの日の為に新調し、町内では初のお披露目となりました。

軽快なお囃子が流れる中、広場を練り歩きます

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ちんちきちん♪  ちんちきちん♪ ちんちきちんちきちんちきちん♪ 
それっ!ひょいっと腰をいれて。 


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笑いや拍手の中、全力で踊り終えると、地域の皆さんがどんな人が踊ってたのかと

お面の下の素顔をリクエスト。なぜかなかなかお面を取らない市原部長・・・でしたが、

お面を取ると、お面と同じ顔まねをしていたので観客から笑いがこぼれました。

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次は、むさし苑職員によるバルーンアート、子供から大人まで大人気でした。

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ご利用者の展示作品も「 みんな上手につくるなぁ~ 」 「 100歳の人の作品かぇ~ 」等、感心し見入っておられました。

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これからも地域の拠点施設として、文化祭や盆踊り、ふるさと祭りなど地域の行事に積極的に参加し、地域と共に歩んでいけるように努めてまいります。

今年は、ここ九州の大分県でも例年以上の寒波とインフルエンザの流行で、地域への外出や行事が思うようにできません。

ご利用者との桜のお花見を待ち遠しく感じています。

( 特別養護老人ホームむさし苑 花木大作 )


 次回は2月26日 北海道 鷹栖町 ぬくもりの家えんさんです。よろしくお願いします。


※ 関連記事
毎週月曜日連載『ハピネスオブライフ~暮らしの楽しみを求めて~』 第234回 「みんなで温泉旅」(足寄町社会福祉協議会)

2018年2月19日

◆ほぼ毎週木曜日掲載 今週の本&DVD  『スティル・ライフ』 池澤夏樹 中公文庫

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『スティル・ライフ』 池澤夏樹 中公文庫

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 池澤夏樹の『スティル・ライフ』を初めて読んだのは今から30年も前のことだけど、初めて読んだときの印象を今でもはっきり覚えている。

 穏やかで透明で音の少ない静かな世界だった。

 主人公たちがバーで話す姿を想像して、いつか誰かとこんなふうに話ができるようになったらいいなぁと思った。

 記憶の中の『スティル・ライフ』の世界は、昔見た美しい景色に似ている。

 『スティル・ライフ』を読むのは3回目だと思う。

 もう一度その景色に会えるかと思って本を手にとってみたけど、見ることはできなかった。

 景色はより現実的な手ざわりがあるものとして僕の中に残された。

 読むと記憶の中にスモールワールドが増えていく小説がある。

 池澤夏樹のいくつかの作品は、僕にとってはそういうもので、『スティル・ライフ』もその一つだ。

 自分の中のスモールワールドをずらっと並べるなんて器用なことはできないけど、その一つ一つが自分の意識の深層に強いパワーを与えてつづけてくれているような気がする。

 パワーがどんなふうに作用しているかはわからないけど、今回もスモールワールドとともにパワーをもらった。

 いつかまた『スティル・ライフ』を読むんだろうなぁ。

(泉田照雄)

※関連記事

◆ほぼ毎週水曜日掲載 今週の本&DVD『賢者は幸福ではなく信頼を選ぶ』 村上龍 KKベストセラーズ

2018年2月16日

毎週月曜日連載『ハピネスオブライフ~暮らしの楽しみを求めて~』 第234回 「みんなで温泉旅」(足寄町社会福祉協議会)

全国高齢者ケア研究会では、「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」をケアの目的の一つとして提案しています。

 利用者の笑顔のある暮らし、喜びを感じられる毎日を「積極的に」つくりだすケアのことです。

 入居者の痛みや苦しみをやわらげおだやかに暮らしていただくことをめざす「平穏ケア」と「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」が、ケアの目的だと考えています。

 毎週月曜日に全国高齢者ケア研究会のメンバーで行われている「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」の取り組みを紹介していきます。

 各施設は「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」を目標に、お年寄りが、「穏やかでそして笑顔で」暮らしていただけるよう取り組んでいます。
                                            
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 今回は、あったか温泉の旅について御紹介いたします。

 

 今の時期、外出について聞いても「寒いからどこにも行かない」「雪ばっかりなのにどこに行くのさ~」と冬は皆、家の中が大好きです。

 

12月の足寄町は、朝の気温が-20度位です。昼間も0度以上になる事が無い日もあり、家の中にいたい気持ちも解る様な気がします。

 


そんな時、介護員から「
Oさんと温泉の旅に行ってきたい」と希望がありました。

 

Oさんは病気の進行があり、最近体の動きが悪くて元気がありませんでした。温泉に行ったら元気になるかな?楽しんでもらえるかな?と考えたそうです。

 

 

 一緒に温泉に行く事を家族の方に相談すると、家族は「最近、じいちゃんと何処にも外出していないのが気になっていた。家族だけで行くのは自信が無いし・・・介護員さんが連れて行ってくれるなら有り難い」と大変喜んでくださいました。

 

 

 早速、計画書を家族の方に見て頂くと

 

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「一緒に行くかな・・・しばらく親父とお風呂に行っていないし」と息子さんがポツンとつぶやいたそうです。結果、Oさんと介護員の温泉の旅が息子さんも一緒に行く日帰り家族旅行にになりました。

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その日は食事をしてから温泉に向かいました。息子さん夫婦と一緒にお食事です。


温泉までは片道40分。あっという間につきました。

 

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温泉に着くと、足の不自由な方も入浴できるようになっていました。

 

 

 男3人、裸の付き合いです。知らない方が見ると・・・孫、父、お爺ちゃんのように見えたと思います。 御家族の方とも、普段できない話をして、楽しい時間を送りました。

 

Oさんはこの日からニコニコで、リハビリにも精が出ており、今度はどこの温泉に行こうか思案中です。

 

男3人の温泉旅から、次はこの人は行けないだろうか?この日ならどうだろう?と介護員から続々と意見が出てきました。

 

思い立ったら即行動!あっという間に計画を立てて他の利用者の方も温泉とお寿司を食べに行きました。

 

 

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 あんなに「冬は外には出ない、家の中が良い」と言ってたのに、お風呂とお寿司は別格なんですね。


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次回は大分県、むさし苑さんです。よろしく願い致します。

足寄町社会福祉協議会高齢者等複合施設 副施設長 井澤 靖子


※関連記事

 ◆毎週月曜日連載 『ハピネスオブライフ~暮らしの楽しみを求めて~』 第233回「どんどや~今年も良い1年になりますように~」 (熊本県甲佐町 特別養護老人ホーム 桜の丘)

2018年2月14日

毎週水曜日連載『全国高齢者ケア研究会先進事例レポート 認知症ケース第62回 前頭側頭型認知症の症状が出ていて、帰宅願望が強かった方が「代替行動」の提供により落ち着いた事例(東京都 フェローホームズ)』

◆毎週水曜日連載 『 全国高齢者ケア研究会先進事例レポート 』
第62回 帰宅願望が強かった方が落ち着いたケース
(東京都 特別養護老人ホーム フェローホームズ )



全国高齢者ケア研究会に参加する各施設では、トータルケアに取り組み、先進的なケアを行っています。
このブログでは、各施設での実践事例を「全国高齢者ケア研究会先進事例レポート 認知症ケース」として紹介しています。
毎週水曜日掲載です。
今回東京都立川市の特別養護老人ホームフェローホームズからのレポートです。

帰宅願望が強かった方が落ち着いたケースです。
ケース検討は、基本的にICF(国際生活機能分類、International Classification of Functioning, Disability  and Health)の考え方をベースに、
BPSD治療アルゴリズム(「かかりつけ医のためのBPSDに対する向精神薬使用ガイドライン第2版」所収)に沿って行っています。

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♦基本情報

氏名:62様

年齢:86歳

性別:女性
身長:155㎝
体重:48.8㎏
介護度:4
既往歴:関節リウマチ(76歳)高血圧症 糖尿病
 高コレステロール血症 貧血 

     胃潰瘍 左大腿転子部骨折(84歳)

内服状況:朝)サラゾスルファピリジン腸溶錠500㎎(免疫機能調整)
 
        プレドニゾロン錠1mg(炎症・アレルギーを抑える)
         カルフィーナ錠0.5ug (カルシウム吸収促進)
         ラロキシフェン塩酸塩錠60mg (骨粗鬆症)
         ジャヌビア錠50mg(血糖コントロール)

         グリミクロンHA20mg(血糖コントロール)
         オメプラゾール錠10mg(胃酸分泌抑制)
         メトレート錠2mg(免疫機能調整)
       夕)クレストール錠2.5mg(コレステロール量抑制)
         クエン酸第一鉄Na50mg (貧血)
         マグミット錠330mg(緩下剤)

認知症カンファレンスシート

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このケースの認知症カンファレンスシートは下記からダウンロードできます。

「20180213194741252.pdf」をダウンロード


♦課題
①いつ帰れるの? ここはどこ? と頻回に職員へ聞いてくるため、老人ホームであると

  答えるが、何度も同じことを聞いてくる。
②無断で施設の外に出てしまうことがある。

♦経過
市内に在住、ショートスティ利用から平成29年6月にフェローホームズに入所。
入所直後より、職員へ頻回にいつ帰れるの? ここはどこ? を繰り返し落ち着かない様子
がみられる。
対話を持つと一時的には納得されるが、すぐに同じ質問を繰り返す状況が入所後から
継続して見られる。
傾向としては、朝食後に訴えが多く聞かれていた。
入所後2カ月目には無断で2度施設の外に出てしまう。一度は警察に保護、二度目は
職員が発見して事なきを得ていたが、落ち着かない状況は変わらず、無断外出の
危険が常につきまとっている状態であった。

♦BPSDの要因分析
①高血圧症の既往があるため、朝食後に血圧の変動があるのではないかと仮説を
  立てました
認知症という診断は受けてはいないものの、認知症カンファレンスシートの
  食行動の異常=ふりかけをそのまま食べる
  常同行動=同じことを繰り返し聞き、ユニット内の同じところを歩き回る
2点にチェックが入ったので前頭側頭葉型認知症を疑いました。
嘱託医にもご本人の症状と状態を確認したところ、前頭側頭葉型認知症ではないかとアドバイスを頂きました。

♦実施したケア
①毎日、朝・夕と血圧測定を実施、血圧の変動とご本人の状態を調べました。

ご家族に前頭側頭型ではないかと考えられるという話をし、「代替行動」として、刺し子やトランプなど好きなものや計算などの問題集を用意して、集中できるものを提供してみました。


♦結果
①血圧に大きな変動はなく、因果関係は薄いという結果になりました
刺し子は昔からなじみがあるので器用に行い、トランプも一人で七ならべを行い、落ち着いて過ごせる時間が増えてきました。
 家族の話だと小さいころに漢字やひらがなをきちんと学んでこなかったとのことで
、漢字ドリルや計算問題集に興味を持ってくれるか不安でしたが、勉強してこなかったから楽しいと話され、見よう見まねで字を書いたり計算もほとんどあっており、それを褒めると喜ばれ、帰宅願望はほとんど聞かれなくなりました。


今回は認知症という診断はないものの、認知症カンファレンスシートを活用してBPSDへのアプローチとして代替行動として、本人が興味を持ってもらえるものを提供することによって
穏やかな生活を送れるように取り組みました。

結果、帰宅願望はほとんど聞かれなくなりました。

ご本人に新たな楽しみが提供でき、自分が上手に字が書けるようになったことを話して下さる62様をみて、問題意識を持つだけでなくご本人の出来ることに着目してケアに当たることの大事さを学ぶこともできました。

これからも62様が新しい発見ができる楽しい生活を提供していきたいと思います

(フェローホームズ 係長 仲野 泰蔵)

次回は2月21日(水)北海道羊蹄ハイツさんです。宜しくお願い致します

◆毎週水曜日連載 『 全国高齢者ケア研究会先進事例レポート 』 第61回 不眠・収集癖・排泄の失敗が多かった方が落ち着いたケース ( 大分県国東市 特別養護老人ホーム むさし苑 )

◆認知症カンファレンスシートがV24になりました。ダウンロードしてお使いください。

◆かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)が発表されました
 

 

2018年2月11日

◆第9回全国先端ケア研究会が長野県上田市で開催

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介護の知識や技術などの先端字知識・先進事例を学ぶ「第9回全国先端ケア研究会」が11、12の両日、長野県上田市で開催。

北は北海道、南は九州まで全国から約170名が参加しています。

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介護職員や看護師、栄養士が高齢者の状態を総合的に捉え、多職種が連携・協同して自立支援・重度化予防、中重度化対応のケアのあり方と知識・技術について学び、理解を深めています。

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2018年2月10日

毎月10日掲載 「熊本県甲佐町特別養護老人ホーム桜の丘のお昼ごはん」 第37回 「鍋を囲んだ食卓を思い出す 2月のごはん」 肉団子と白菜のスープ ・ 小松菜のごま和え ・ 牛乳くずもち

立春は過ぎましたが、厳しい寒さが続き、熊本でも雪が降ります。

寒くなると、鍋など体が温まる料理を食べたくなりますが、、施設では鍋をする機会が減り、
具たくさんの汁物(スープ)を提供する日が増えました。

今回紹介する「肉団子と白菜のスープ」は、ちゃんこ鍋をイメージしたスープです。

肉団子に生姜を加えることで、体がポカポカと温かくなります。

また「牛乳くずもち」は、きな粉もちのように見え、入居者に喜ばれるデザートです。

鍋をする機会が少なくなったり、もちが食べられなくなっても、食事を楽しんでもらえるよう、
いろんな工夫をしていきたいと思います。


<献立>

雑穀ごはん

肉団子と白菜のスープ

小松菜のごま和え

牛乳くずもち

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肉団子と白菜のスープ

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<材料>  1人分

(A)鶏ひき肉        50g

  ネギ           10g

  長芋           10g

  生姜           2g

  卵             6g

  塩            少々

白菜             60g

人参             5g

ニラ              8g

干ししいたけ        1g

春雨             2g

鶏ガラスープ        150cc

しょうゆ            3cc

塩               0.3g


<作り方>

①ネギはみじん切り、長芋と生姜はすりおろしておく。

②(A)の材料を混ぜ合わせる。

③白菜は食べやすい大きさに切る。人参は細切り、ニラは1~2㎝長さに切る。
  干ししいたけと春雨は戻して、食べやすい大きさに切る。

④鍋に鶏ガラスープと③の野菜を入れて火にかけ、沸騰したら②を一口大に丸めながら入れる。

⑤アクを取りながらしばらく煮込み、春雨を加えさらに5分くらい煮込み、しょうゆ、塩で味を調える。

肉団子を軟らかくするために、長芋を加えます。


小松菜のごま和え

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<材料>  1人分

小松菜        50g

人参          5g

すりごま        2g

(A)しょうゆ      3cc

  みりん       3cc

<作り方>

①(A)の調味料を混ぜ合わせ、火にかける。沸騰したら、冷ましておく。

②小松菜は熱湯でゆでて水にとり、水気を絞って2㎝長さに切る。
  人参は細切りにして、ゆでて水気を切っておく。

③①にすりごまを加え、②を和える。


牛乳くずもち

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<材料>  1人分

牛乳     40cc

水       20cc

砂糖     10g

片栗粉    10g

きな粉    適量


<作り方>

①鍋に片栗粉と砂糖を入れて、よくかき混ぜる。

②牛乳を少しずつ加えたら、火にかける。

③弱火~中火でよくかき混ぜながら加熱する。

④とろみがつき、ツヤが出てきたら火を止める。

⑤バットに流し、冷やす。

⑥好みの大きさに切り、きな粉をまぶす。


牛乳くずもちは、入居者に人気のデザートです。

先日、おやつ作りのレクレーションで、レンジを使った牛乳くずもち作りに挑戦されました。


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「おいしか~」  「また作ってたべなんばい!」と好評でした。

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特別養護老人ホーム 桜の丘  管理栄養士 川本里江

※関連記事
◆毎月10日掲載「熊本県甲佐町特別養護老人ホーム桜の丘のお昼ごはん」第36回「正月の余韻を楽しむ1月のごはん」 うの花煮付け ・ かぶのみぞれ汁 ・ きんかんゼリー

2018年2月 7日

◆毎週水曜日連載 『 全国高齢者ケア研究会先進事例レポート 』 第61回 不眠・収集癖・排泄の失敗が多かった方が落ち着いたケース ( 大分県国東市 特別養護老人ホーム むさし苑 )

 全国高齢者ケア研究会に参加する各施設では、トータルケアに取り組み、先進的なケアを行っています。
 このブログでは、各施設での実践事例を「全国高齢者ケア研究会先進事例レポート 認知症ケース」として紹介しています。
 毎週水曜日掲載です。
 今回大分県国東市の特別養護老人ホームむさし苑からのレポートです。
 不眠・収集癖・排泄の失敗が多かった方が落ち着いたケースです。
ケース検討は、基本的にICF(国際生活機能分類、International Classification of Functioning, Disability  and Health)の考え方をベースに、BPSD治療アルゴリズム(「かかりつけ医のためのBPSDに対する向精神薬使用ガイドライン第2版」所収)に沿って行っています。

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◆ 基本情報

 氏  名 : 61様

 年  齢 : 81歳

 性  別 : 女性

 身  長 : 140cm

 体  重 : 53.2kg
  介護度 : 3

 既往歴: アルツハイマー型認知症 ・ 高血圧症 ・ 高コレステロール ・乳癌
        盲腸 ・ メニエール

 内服状況: 朝 ) カリジノゲナーゼ錠50単位 「トーワ」 (血流改善薬)
            ベタヒスチンメシル酸塩錠12㎎ 「トーワ」 (目眩止め)
            酸化マグネシウム細粒83% 「ケンエー」
            リスペリドン内溶液㎎/ml 「MEEK」
         昼 ) 酸化マグネシウム細粒83% 「ケンエー」
         夕 ) 酸化マグネシウム細粒83% 「ケンエー」
             リスペリドン内溶液㎎/ml 「MEEK」
                      リスパダール1mm
            メマリーOD錠20㎎

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「60_v24.pdf」をダウンロード


◆ 課題
 ① 夕方より不穏になり、夜間も度々居室より出てこられ安眠できていない。
 ② 収集癖が強くなってきた。
 ③ 排泄の失敗が多くなり、尿もれ・放尿がある。

◆ 経過
 ショートステイ利用を経て、平成28年7月2日にむさし苑に入所される。ショート利用時
には2人部屋で生活されていましたが、特養入所後、2人部屋から4人部屋に変更になる。
 入所後、急激な体重増加のため、食事量を調整し対応する。平成29年9月ごろより、
 夕方になると強い口調で怒り、「帰ります」と荷物をまとめて玄関の方へ何度も行かれる。
 また、ベッド上にはトイレットペーパーやプラスチックグローブ、他のご利用者の衣類等を
集めて自分の布団の中に隠すようになる。食事中に布団の中に隠した衣類等を回収する
 と「私の物を盗む人がいます。警察を呼んでほしい。」等の発言があり、さらに不穏になる。
 布団の外にも集めた衣類があり、その衣類を回収しても「盗まれた。」などの発言はない。
 日に日に、夜間も休まれず居室より出てこられ廊下をウロウロされる。職員の所に来ては水分の要求を何度も繰り返される。
 自力で排泄はできたが、失禁や放尿が増えてきた。声掛け、誘導介助にも強い拒否が
 あったが、声掛けを工夫しトイレ誘導することで失禁・放尿は改善された。

 しかし、不穏行動や収集癖がなかなか改善できなかった。

◆ BPSD( 行動障害 )の要因
 毎日、夕方ごろに不穏行動が出ていたため、要因分析しました。
 ①既往歴に高血圧症があり、血圧の上昇があるのではないかと仮説を立て夕方の
   血圧測定をおこなった。しかし、異常はなかった。
 ②特養に入所となり居室変更したため、環境の変化によるものではないかと仮説を立て、元の2人部屋に居室変更する。

 不穏行動は、少し改善した。
 収集癖が収まらず悩んでいたところ、泉田先生の勉強会で収集癖が空腹によるものではないか?とアドバイスをもらいました。
 ①しらたきソーメンを管理栄養士に依頼し厨房で作ってもらい、20時の水分補給の時に
   食べて頂くようにしました。
 ※ 体重増加があり、おにぎりではカロリーコントロールが出来ないため、勉強会の中で
   しらたきソーメンを試したらどうかと助言してもらいました。しらたきソーメンはカロリー
   が少なく、満腹感を得られるとのことで試してみました。
   実施すると、夜間に居室より出てくる回数が減った。その後、徐々に収集がおさまった。

◆ 実施したケア
 ① 排泄の失敗について
   定期の声掛け・トイレ誘導・記録のチェック ( 声掛けに十分注意する )
 ② 不穏行動について
   2人部屋に戻って頂き、顔なじみのご利用者と同室にし夕方の血圧測定をする
 ③ 収集癖について
   空腹感が要因になっていると考え、低カロリーの補助食品を提供する。20時にしらたきソーメンの提供

◆ 結果
 ・排泄については、誘導で改善された。
 ・不穏行動については環境の変化によるものと、空腹によるものであった。
 ・収集癖についても空腹のため出たと考えられ空腹を満たすことで改善された。

 現在、61様は失禁・放尿等もなく落ち着かれています。また、不穏行動や収集癖も
 改善されています。夜間も良く休まれるようになりました。そのため、しらたきソーメンを
 中止し、現在見守りをおこなっていますが、特にお変わりもなく休まれ落ち着いた生活
 をおくっています。


( 特別養護老人ホーム むさし苑 介護主任 上野 知子 )

 次回は2月14日(水)東京都立川市 フェローホームズさんです。宜しくお願いします

◆毎週水曜日連載 『全国高齢者ケア研究会先進事例レポート』 第59回「2017年8月2日第40回の続編 治まったBPSDが再び始まり、すぐに改善できたケース」(東京都 足立区 千住桜花苑)

◆認知症カンファレンスシートがV24になりました。ダウンロードしてお使いください。

◆かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)が発表されました。

2018年2月 5日

◆毎週月曜日連載 『ハピネスオブライフ~暮らしの楽しみを求めて~』 第233回「どんどや~今年も良い1年になりますように~」 (熊本県甲佐町 特別養護老人ホーム 桜の丘)

全国高齢者ケア研究会では、「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」をケアの目的の一つとして提案しています。

利用者の笑顔のある暮らし、喜びを感じられる毎日を「積極的に」つくりだすケアのことです。
 入居者の痛みや苦しみをやわらげ穏やかに暮らしていただくことをめざす「平穏ケア」と「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」が、ケアの目的だと考えています。
 毎週月曜日に全国高齢者ケア研究会のメンバーで行われている「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」の取り組みを紹介していきます。
各施設は「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」を目標に、お年寄りが、「穏やかでそして笑顔で」暮らしていただけるよう取り組んでいます。

**************************************


 桜の丘では12月に入ると、門松づくりが始まります。全て職員の手作りです。
南天や松も、職員の家からもらってきたものです。下の写真の職員(指宿さん)はデイサービスの職員で、朝夕送迎をしているため(?)、どの家に何の木があるか把握しているとか(すごい!)

今年も立派な門松ができました。
(昨年は熊本地震の影響で、作ることができませんでした。2年ぶりの門松作りに気合いの入り方が違います!)

Dscf1766

↑特養、サテライト特養など、合計4対作ります。


 1月12日は、どんどやでした。
今回記事を書くにあたり、「どんどや」について調べてみました。
門松や、しめ縄などのお正月飾りを焚き上げるのが習わしで、正月の火祭り行事のことを桜の丘のある熊本では「どんどや」と呼んでいます。地方によって、「どんど焼き」「どんだら焼き」「ほっけんぎょう」など呼び方は様々のようです。

 
 由来は、「尊や尊や」(とうとやとうとや)とはやし立てた言葉がなまったとか、どんどん燃える様子からとか様々です。1年の身体健康、無病息災、家内安全、五穀豊穣などを祈願します。

 桜の丘でのどんどやの準備は、1週間前から始まります。
 まずは、竹伐りから。この週は特別寒く、めったに降らない雪が降りました。雪が舞う中、指宿さん率いる男性職員で、追い込みに入ります。


Dsc_0710_3

↑ しめ縄、門松の材料、1年間で伐採した木の枝や、習字、お守りなど、1年間のあれこれをどんどやの中に組み上げます。雪の舞う中、頑張っています。

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 ↑ついに完成!記念に1枚。

 1月12日、「どんどや」当日。昨日までの雪も止み、点火の時には陽が差し込みました。
 どんどやの点火は、年男、年女のご利用者、職員で行います。

Dsc_2135

 ↑点火の前の記念写真。

 いよいよ点火。

Dsc_1592

↑点火の写真です。

Dsc_0731


 「どんどや」の日は、毎年、地元の消防団の方も来てくださいます。

 この日は、運営推進会議も行ったため、区長、老人会長、町の福祉課からも参加していただきました。だんだん地域の行事が少なくなっていく中で、毎年盛大に行われるどんどや、他の季節の行事を行っていることを評価していただきました。

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 ↑記念に1枚。左から地元消防団、運営推進委員のご家族代表、区長、老人会長の方々。いつも大変お世話になっています。

 どんどやでは、栄養課特製の甘酒が振る舞われます。
寒い中、温かくておいしい甘酒は毎年とても好評です。
燃えるどんどやを見ながら、「長生きせなんから、火に当たらなん」とみなさんお尻や顔をあぶっておられます。

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 今年もどんどやの火にあたることができた。幸せ幸せと拝まれる方や、昔は書き初めをどんどやで燃やして字が上手になるようにと願った。懐かしいと昔を懐かしむ方など様々です。

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↑なんと、99歳と、100歳のお二人。今年もどんどやで体をあぶって、長生きできますようにと願っておられました。火が落ち着くと、餅を焼く人、焼き芋をする人たちも・・・。


 どんどやの火にあたりながら、今年も良い年で、健康に過ごせますようにと願いました。


 (熊本県甲佐町 生活相談員 吉田めぐみ)


 次回は 北海道本別町 本別町社会福祉協議会さんです。よろしくお願いします。


※関連記事

 ◆毎週月曜日掲載 『ハピネスオブライフ~暮らしの楽しみを求めて~』 第232回 笑顔いっぱいの喫茶 (愛媛県松山市 高齢者総合福祉施設ガリラヤ久米)

 

 

2018年2月 3日

◆前田真三フォトギャラリー「拓真館」の白樺並木

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 北海道美瑛町にある写真家前田真三のギャラリー拓真館へ行ってきました。

 前田真三は北海道美瑛町の美しい丘の景色を写した写真家として知られています。

 拓真館には代表作が展示されていて、一期一会の美しい景色を見ることができます。

 前田真三が美瑛にきたときは、今みたいに交通も発達してなかったでしょうし、高性能のランクルもなかっただろうから、撮影はかなり大変だったんじゃないでしょうか。

 ギャラリーの前の白樺並木もみごとです。

(泉田照雄)

※関連記事

◆ほぼ毎週水曜日掲載 今週の本&DVD 伊勢・志摩サミットで配布された森田敏隆さんの写真集『NATIONAL PARKS OF JAPAN』

2018年2月 2日

◆「わたしたちがやりたいケア 介護の知識50ver2」 第60回~介護施設で注意したいむくみとその対応~

Diva_2
社会福祉法人美瑛慈光会 創立40周年 を記念してコンサートを開催しました。

今後ともよろしくお願いいたします。

****************************************************

 長時間の立ち仕事や、デスクワークにより足がパンパンになった経験はないでしょうか。これは多くの場合冷えや運動不足により血液の循環が悪くなっていることでおきる「むくみ(浮腫)」です。

 

 若い人でも経験するむくみですが、介護施設に入居される高齢者は加齢による心臓機能の低下、麻痺などによる運動不足により、むくみが発生しやすい状況にあるといえます。

 

 むくみは「加齢によるある程度自然なこと。」と考えられる一方、「なんらかの病気によって引き起こされている。」という治療が必要な病気の兆候や症状として現れることもあるため、原因と対応方法を理解しておく必要があります。

Photo_5

         むくみにより靴下の跡が残った状態 

(横浜血管クリニックホームページより引用)

1. むくみ(浮腫)とは

 

むくみはうっ血の状態からおこります。うっ血は、心臓機能の低下や、冷え、運動不足などのさまざまな要因で静脈の流れが戻りにくくなり血流が停滞して増加している状態です。高齢になり動かないことや、靴下など何かに圧迫されて通り道が狭いとか、何かしらの要因で静脈の血液が戻りにくくなると、血管は伸びて血液を停滞させます。

 

 これ以上のびるのは危険となると、血液の中で一番分子量の小さい「水」を血管の外へ排出して、血管を守ろうとします。この血管から排出された水分が皮下にたまった状態がむくみです。

 

 「むくみ」と「腫れ」の違い※1

 

Photo_4

1「むくみ」と「腫れ」の違い

 

 指で押し、へこんだ跡が残れば「むくみ」です。水分が溜まっているので、見た目にも皮膚が透けているように見え、熱を持っていません。

 

 「腫れ」は皮膚が赤く見え、触ると熱を持っていて、指で押してもへこみません。炎症を起こし、壊れた細胞を修復するため、血流が増加している状態です。

 

(介護現場で活かすフィジカルアセスメント 中央法規 より引用)

 
 

1. むくみの原因

 

 むくみが起きる原因は様々ですが、高齢者に多い原因は大きく2つに分かれます。血液循環の障害による場合と、病気の兆候による場合です。

 

①血液循環の障害による場合

 

l 加齢による心臓機能の低下:心臓機能が低下すると、全身に血液を送る力が弱くなってしまい、血液循環が悪くなります。

 

l 手足の冷え・運動不足:手足が冷えたり、運動不足などで手足の筋力※2が低下したりすると、手や足の先に溜まった血液を心臓に向かって押し戻すことができず、結果として血液の循環が悪くなります。長時間同じ姿勢も、下肢のポンプ機能が十分に働かないため循環が悪くなります。

 

 
 

2足(特にふくらはぎ)の筋肉は「第2の心臓」

 

 足は最も心臓より離れたところにあります。そのため、心臓の働きだけでは、十分に血液を戻すことができません。

 

 足の筋肉を動かし、伸び縮みさせることで、ポンプの役割をはたし、血液を心臓まで戻す大きな力となっています。

 

 

 

 

l 皮膚の張りの減少:皮膚の張りが減少すると、水分を静脈に押し戻す力が弱くなり、皮下に水分が溜まりやすくなります。

 

②病気の兆候による場合

 

l 腎臓病:腎臓がうまく機能していないと、血液に老廃物が溜まり、血液環境が悪くなり、むくみが発生することがあります。

 

l 心臓病:心臓は血液の循環を担っているため、心臓に異常がある場合はむくみが発生しやすくなります。

 

l 肝臓病:肝臓は血管内の水分量を保つための物質であるアルブミンを合成しています。肝機能の低下によりアルブミン量が低下すると水分が血管外にでてしまい、むくみとなります。

 

l リンパ浮腫:血管と同様に全身に張り巡らされたリンパ管を流れるリンパ液が、何らかの原因で流れが滞り四肢に溜まります。

 

l 下肢静脈瘤:足の静脈には一度心臓に向かった血液が逆流して足に戻ることを防ぐ静脈弁がついていますが、この弁が壊れ、逆流した血液が足に溜まってしまうことがあります。

 

l 深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群):長時間同じ姿勢でいることで血栓ができ、血流を妨げることでむくみます。

 

 他にもむくみが現れる病気は沢山あります。病気によるむくみの場合はその原因を特定し治療することが必要となります。そのため、そのむくみが加齢による自然なものか、危険なむくみなのかを観察し、医師や看護職員に適切に報告することが大切です。

 

③その他

 

l 水分の取りすぎ

 

l 塩分の取りすぎ

 

l ビタミン、ミネラル、タンパク質の不足

 

 

 

2. 加齢による自然なむくみと、危険なむくみの観察のポイント

 

①加齢による自然なむくみ

 

l 朝起きるときにはむくみが無くなっている。昼寝をするとむくみがひいている。

 

l 両下肢のむくみ。

 

②危険なむくみと、病気のサイン

 

l むくみが1日中持続している。

 

l むくみが何日も続いている。

 

l 足の血管がボコボコと浮き出ている。

 

l 足の痛みが伴っている。

 

l 急に体重が増えた。

 

l 顔やまぶたがむくむ。

 

l 尿の出が悪い。尿の異常(濁り・泡立ち)

 

l 息切れがする。疲れやすい。

 

l 血圧の上昇。

 

l わき腹や腹部の痛み。

 

l 血尿。

 

l 胸部の痛みや違和感。

 

l お腹が腫れる。

 

l オナラが多い。

 

l 黄疸がでている。

 

l 徐脈。

 

 

 

これらの状況が見られる場合は、単なる加齢によるむくみではなく、病気によるものが考えられるため、4.むくみの対応により、看護職員や医師へ報告します。

 

 

 

3. むくみの対応

 

①加齢による自然なむくみ

 

l むくみイコール利尿剤ではなく、下記の対応を行い、確認します。

 

l お昼から夕方にかけてむくみが強くなる場合は、昼寝をしていただき、血液が循環しやすいようにします。

 

l 足裏にクッションなどをいれ、10cmほど高くして、血液が戻りやすくします。

 

l 昼寝が嫌いな方や、離床時間が長い方の場合は、オットマンなど足を乗せられる台を用意し、ソファーや車椅子での座位でも足を挙げ長座位の姿勢で過ごしていただく時間をつくります。

 

l ひざ掛け等を使い、下肢の冷えを防ぎます。ふくらはぎまで覆うと、筋肉がやわらかくなりより効果的です。

 

l 寝食分離・寝排泄分離・離床により、生活の中で何度も立つ・座る運動につなげます。

 

l 入浴や足浴でしっかりと暖める。

 

l 靴下は締め付けないで暖かいもの。

 

l 歩行。歩けない方は、車椅子に座り、足こぎをしていただく。

 

l リンパマッサージやタイツも効果的ですが、下肢の水分が急激に心臓に戻ることで負担になることもあるため、医師に確認してから行います。

 

l 食事・飲水量と排せつや発汗状態を確認し、必要以上に水分や塩分をとっていないかみます。

 

 
 

②危険なむくみと、病気のサイン

 

l すぐに医師や看護職員へ報告します。報告のポイントは以下を参照。

 

l むくみの出現が持続的か、間欠的か、また発現が急性か慢性か。

 

l むくみの程度、部位、状態。

 

l 基礎疾患の有無、既往歴、検査データ、尿量、体重の推移、食事、飲水量、塩分摂取状況、自覚症状(3.加齢による自然なむくみと、危険なむくみの観察のポイント)。 

 
 

l 利尿剤使用の有無と副作用。

 
 

 

 

これらの中でもとくに大切なのはむくみの部位の観察です。

 

 下肢以外のむくみ、顔、腕などにむくみが出た場合は、すぐに看護部門に報告します。

   

 病気の進行などにより、慢性的にむくみが見られる場合は、褥瘡予防や、感染予防(外傷をつくらない)ことが大切になります。

 

 むくみの部分が硬いものにあたらないよう環境を整理しましょう。また、爪を短く切ることも重要です。

 

「tekisuto60.doc」をダウンロード

 
 

(特別養護老人ホーム美瑛慈光園 施設長 安藤挙利)

 

 

※関連記事

◆「わたしたちのやりたいケア 介護の知識50ver2」 第54回~利用者の状態に合ったパッドの使い方の基本~

 

 

 

 

2018年2月 1日

◆2018(来年)2月11日(日)~11日(月) 長野県上田市で開かれる「第9回全国先端ケア研究会in長野・上田」の申し込みがスタートしました。どなたでも参加できます。今年もインターネットからの申し込みです。

しばらくこの記事をブログのトップにアップします。

新しい記事は下にあります。

P1010390

************************************

 2018(来年)2月11日(日)~11日(月)に開かれる「第9回全国先端ケア研究会in長野・上田」の申し込みがスタートしました。 

 今年も専用ウェブサイトでネットからの申し込みになります。

 ↓専用ウェブサイト クリックすると申し込みページにジャンプします。

 https://www.mwt-mice.com/events/ueda2018/login

 電話、FAXでの申し込みはできません。

 ご注意ください。

 ウェブサイトでの申し込みについては下記へお問い合わせください。

 名鉄観光サービス㈱長野営業所 TEL 026-244-8557 担当 原さん

 全国高齢者ケア研究会は、参加施設が力を出しあって運営しています。

 今回の研究会も上田市のアザレアンさなだが事務局を担っていただいております。

 事務局を担っていただいている施設の事務負担を少しでも軽減するために、ウェブでの申し込み方法にいたしました。

 ご理解とご協力をお願いいたします。

 オープンの研究会なので、どなたでも参加できます。

************************************

 今年は菅平のスキー場がある長野県上田市のJR上田駅前の上田東急REIホテルで開催いたします。北陸新幹線上田駅徒歩1分のところです。

 今年は栄養士分科会がありません。

 そのかわり栄養部門が介護、看護部門同様に、健康管理に深く関わり多職種協働のケアの中心となっている実践、事例を全体会で紹介します。

 先端ケア研究会は、全国高齢者ケア研究会の会員施設が、その年1年間に取り組んできた新しいケアを紹介する研究会です。

 食事ケア、排泄ケア、認知症ケア等の基礎介護を丸2日間にわたってハードに研究するため、「基礎介護ミーティング」とも呼ばれています。

 研究会の各施設は、ここで得た知識・技術を来年度の研修計画に反映します。

 特別養護老人ホーム等の入居系事業所は重度化が進んでいます。

 重度化に対応した最新のケアを学ぶ研究会ですので、ぜひご参加ください。

 各書類のダウンロードは下記からお願いいたします。↓

↓案内文

「2018ueda-kaisaiannnaiv2.pdf」をダウンロード

↓要項

「2018uedayoukoumousikomisyo.pdf」をダウンロード

↓ウェブ申し込みの操作方法

「2018naganosousahouhou.pdf」をダウンロード

↓プログラム(案)

「2018uedaprogram_an.pdf」をダウンロード

 今年の研究会の主な内容は以下の通りです。  

《今年の研究会のポイント(予定)》

1 新しい「介護の知識50」  

 重度化した入居系施設に必要なケアの技術、知識を約60のポイントにまとめました。毎年、改良を加えていますが、今年もさらにバージョンアップしました。

2 看護師のための分科会開催  

 重度化施設において、医療と介護の連携はとても重要です。

 看護部門は医療介護連携の中心。

 長期療養型施設における医療連携上の看護の役割の解説。

 看護部門と介護部門がしっかりと連携している先進事例を紹介します。

 定員50名。定員になり次第閉め切らせていただきます。

3 最新の認知症ケア

  BPSDの要因分析の仕方とケアのポイントを解説します。

4 便秘を和らげる腹部マッサージの実演

5 重度化に対応したアセスメントシート

 入居系事業所の重度化は急速に進んでいます。

従来のアセスメントシートでは、重度化した利用者に対しては十分なアセスメントができません。

 重度化した利用者に対してのアセスメントのポイントと、新しいアセスメントシートを紹介します。

**********************************

 昨年は12月中旬に定員に達しました。お早めにお申し込みください。

 当日会場でお会いできるのを楽しみにしています。

(泉田照雄)

※関連記事 昨年の研究会の様子

◆知識・技術を深めることの大切さ 2017年2月9日〜10日 北海道旭川市で「第8回全国先端ケア研究会in北海道・旭川」=基礎介護ミーティングが開催されました。

2018年1月31日

◆毎週水曜日連載 『全国高齢者ケア研究会先進事例レポート』 第60回 普段落ち着かず動くことが多かった方が落ち着いたケース (大分県大分市 特別養護老人ホーム明治清流苑)

 全国高齢者ケア研究会に参加する各施設では、トータルケアに取り組み、先進的なケアを行っています。
 このブログでは、各施設での実践事例を「全国高齢者ケア研究会先進事例レポート 認知症ケース」として紹介しています。
 毎週水曜日掲載です。
 今回大分県大分市の特別養護老人ホーム明治清流苑からのレポートです。
 普段落ち着かず動くことが多かった方が落ち着いたケースです。
 ケース検討は、基本的にICF(国際生活機能分類、International Classification of Functioning, Disability  and Health)の考え方をベースに、BPSD治療アルゴリズム(「かかりつけ医のためのBPSDに対する向精神薬使用ガイドライン第2版」所収)に沿って行っています。
********************************************************************************
◆基本情報

氏名 60様
年齢 91歳
性別 女性
身長 153cm
体重 59.1㎏
要介護度 4
既往 高血圧症 脳血管性認知症 下肢深部静脈血栓症 慢性心不全 尿路感染症 

服薬状況 朝 スピロノラクトン錠25mg 1錠 (降圧薬)
       カルベジロール錠10mg 1錠 (降圧薬)
       アムロジピン口腔内崩壊錠2.5mg 1錠 (降圧薬)
       レバミピド錠100mg 1錠 (潰瘍治療薬)
       抑肝散 2.5g (漢方薬)

     昼 レバミピド錠100mg 1錠 (潰瘍治療薬)
       抑肝散 2.5g (漢方薬)
  
     夕 メマリーOD錠10mg 1錠 (抗認知症薬)
       センノシド錠12mg 1錠 (刺激性下剤)
       レバミピド錠100mg 1錠 (潰瘍治療薬)
       抑肝散 2.5g (漢方薬)

60_v24_2


「60_v24.pdf」をダウンロード

◆課題
 1、落ち着かずに動き回る
 2、日中に微熱がある

◆経過
  ・グループホームから特養に入所。帰宅願望が強く不穏行動が見られる。不穏行動は車いすにてユニットを自走し動く。たまに玄関から出ていくことある。何往復も同じことを繰り返す。
  ・夕食後に臥床するもだれかを呼んだりしなかなか入眠せず、入眠が0~2時ごろになる。
  ・離床しテーブルに着くがすぐに車椅子にて動き出す。少しだが息切れあり。
  ・何度も動いては元のテーブルに戻り、動く際は主から見て左側から動き出す様子あり。
  ・食事が来るとすぐに食べ終わりまた動き出す。戻る場所は同じである。
  ・夕方は落ち着いており口調が穏やかである。しかし主より「○○へ帰る」「ここにいていいの?」等の言葉は多々見られる
  ・便が出にくくセンノシドを毎日服用していた。
  ・午後より微熱が出ている

◆BPSD(行動障害)の要因分析

  本人の認知症に関しては、
   ・落ち着かずに動いているが、そのコースがほぼ決まっていること
   ・テーブルについても、すぐに動き出すことがあること
   ・食事の様子を確認したところ食べるのがとても速かったこと
   以上の観察結果から時刻表的生活、常同行動、脱抑制、食行動の異常の傾向があるため、前頭側頭型認知症の傾向がある可能性を検討し各課題を分析しました。

 1、落ち着かずに動き回ることについては
   ・入所による環境の変化により、被影響性の亢進が出ているのではないか(見慣れない景色、生活パターンの変化)
   ・心不全の既往があり息切れすることもあるので、きつく感じているのではないか
   ・刺激性下剤を毎日服用していたため腹部の痛みがあり落ち着かないのではないか

 2、日中に微熱があることについては
   ・尿路感染の可能性があるのではないか
   ・動くことが多いためではないか

◆実施したケアと結果

 1、・暮らしの流れを理解してもらい落ち着いてもらうために、一日の流れがわかるように、日課表を作成して本人に確認してもらうようにした。また、被影響性の亢進をおさえるために、リビングでの席を変えないようにすることと横に座る人も変わらないようにしました。
   ・センノシドを頓用に変更し、ご飯を玄米食に変更することと、腹部マッサージを実施して腸の活動を活性化するようにしました。
   ・朝トイレに座ることを習慣化しました。

 2、・水分については、1回に飲む量を少なくして回数を増やすようにしました(5回→10回)
   ・医療と連携し尿路感染の検査をしました。

   
 その結果、車いすで動くことが減り、「帰る」等の発言も減りました。

 また、熱も以前は微熱が週に3~5回程度発生していたのが週に1回程度まで減少しました。

 尿路感染の検査は特に問題がなかったですが、再発する可能性もあるため陰部洗浄をしっかり行うようにしました。

 便秘についても、以前は-3~-5になることもありましたが、-1~-2で排便できるようになりました。
   
 上記のケアの結果穏やかに過ごすことが増えてきましたが、体調を崩しベッド上で過ごすことが多くなった後は落ち着かない行動が出てくることがあります。

 今後も60さんがよりよい生活を送れるように要因分析を行いケアに生かしていきたいと思います   
   
(特別養護老人ホーム 明治清流苑 相談員 安東斉和)

次回は2月7日(水)大分県国東市むさし苑さんです。宜しくお願いします

◆毎週水曜日連載 『全国高齢者ケア研究会先進事例レポート』 第59回「2017年8月2日第40回の続編 治まったBPSDが再び始まり、すぐに改善できたケース」(東京都 足立区 千住桜花苑)

◆認知症カンファレンスシートがV24になりました。ダウンロードしてお使いください。

◆かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)が発表されました。

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