◆高齢者介護施設での感染者発生が増えています。拡大予防対策の準備を急いでください。高齢者介護施設の新型コロナウイルス感染拡大予防対策。8/11記

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 7月末から高齢者介護施設での感染者発生の報道が増えています。

 非常事態宣言解除後(5月25日)から7月末までの約2カ月間で、報道で目にした高齢者介護施設の新型コロナウイルス感染症感染者発生は14カ所。

 8月1日から11日までに報道された高齢者介護施設の新型コロナウイルス感染症感染者発生件数は9件。

 ほぼ毎日のように高齢者介護施設で新型コロナウイルス感染症感染者が発生しています。

 急に増えています。

 研究会に参加している各施設は、ブログに書いた感染拡大予防対策をできるだけ早くしっかり行ってください。

 感染者が出てから準備したのではまにあいません。

 しておけばよかったと後悔しないように準備をお願いいたします。

(泉田照雄)8/11記

※関連記事

◆第2波に備える高齢者介護施設。全国高齢者ケア研究会各施設が行なっている新型コロナウイルス感染症対策を紹介します。

2020年8月31日

◆第2波に備える高齢者介護施設。全国高齢者ケア研究会各施設が行なっている新型コロナウイルス感染症対策を紹介します。

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 新型コロナウイルス感染症が拡大してきました。

 全国高齢者ケア研究会の各施設が行っている新型コロナウイルス感染症対策を紹介します。

 おもに以下の7つを行っています。

 1 個人防護具(PPE)*1の準備

 2 感染者発生時の施設のゾーニング計画立案

 3 感染者発生時の勤務シフト作成

 4 個人防護具の着脱研修

 5 PCR検査受診場所の確認、受診者搬送のシミュレーション

 6 栄養課から感染者発生時の食事提供体制の確立

 7 在宅系サービスが休止になった場合の利用者のサポート体制

 

 1 個人防護具の準備

 高齢者ケア研究会の各介護施設では第1波が拡大中に個人防護具の準備に取りかかりました。

 大規模クラスターが発生した介護施設の報告から、個人防護具が充分にないと次々と感染が広がることがわかりました。

 感染からわずか一週間で20人〜30人に感染者が広まっていました。

 個人防護具がなければ、感染拡大を防ぐことはできないと考え、以下のものを準備しました。

 ・ヘアキャップ

 ・N95マスク

 ・グローブ

 ・クリーンルーム用ウエア、ガウン

 ・フェイスシールド

 ・ゴーグル

 ・シューズカバー

 個人防護具はスタッフを感染から守ります。

 各施設100〜200セット準備しています。

 

 2 感染者発生時の施設のゾーニング計画立案

 感染者が発生したときに、施設を区分け(ゾーニング)します。

 区分けは3種類です。

 3色で表しています。

 ・赤色(レッドゾーン)

 ・黄色(イエローゾーン)

 ・緑色(グリーンゾーン)

 赤色(レッドゾーン)はウイルスが存在するエリアです。

 個人防護具を着用しなくてはならないエリアです。

 緑色(グリーンゾーン)はウイルスが存在しないエリアです。

 個人防護具を着用しなくてもいいエリアです。

 黄色(イエローゾーン)は中間エリア、緩衝エリアです。

 個人防護具を脱ぐ場所、個人防護具を廃棄する場所、手指衛生を行う場所です。後述しますが、個人防護具の着脱研修を行うと、個人防護具を脱ぐ場所には椅子や姿見などが必要なことがわかります。

 施設マップを用意して感染者が出る前にゾーニングの計画をつくっておく必要があります。

 感染者が出てからゾーニング計画を作るのでは時間が足りず混乱する可能性があります。見逃しが出るかもしれません。

 全国高齢者消可研究会の各介護施設は事前に事業所ごとにつくりました。

  
 3 感染者発生時の勤務シフト作成

 勤務シフト作成には2つのフェーズ(段階)があります。

 ①感染疑い→PCR検査の結果が出るまでの期間

 ②感染発生時

 感染疑いの入居者、スタッフが出てPCR検査をうけることになったらすぐに施設ではゾーニングの準備と濃厚接触者の特定に入ります。緊急にスタッフが集まり、勤務表などを見て、感染疑いの入居者、スタッフの検査結果が出るまで濃厚接触者(スタッフ)は自宅待機となります。

 何人のスタッフが自宅待機になるのかを考え、人員が減ったときのシフト表をつくっておきます。

 高齢者介護施設の入居者は重症化しやすいということを考慮して、感染を最小限に止める必要があります。

 自宅待機のスタッフの選定はきびしく考えようと、全国高齢者ケア研究会の各施設では考えています。

 濃厚接触者の特定をゆるめに考えて、感染者が勤務してしまうことだけは避けなければなりません。

 この期間の応援計画も必要です。

 スタッフが自宅待機になるので、人員が減ります。

 事務部門がグリーンゾンでどのようなサポートができるかなどを考えておきます。

 つぎの段階、感染者発生時、入居者、スタッフのPCRの結果が出てからの応援計画も立てています。

 施設併設のデイサービスや総合事業を休止して、デイサービスのスタッフがグリーンゾーンでのシフトに入ってもらうシフト表をつくっておきます。

 法人内に複数の施設を持っている場合は、他施設からの応援計画を立てておきます。

 法人内に一つの施設しかない場合は、近隣の施設、仲のよい施設との相互支援計画を取り決めます。

 これらがない場合は、自治体による支援を待つことになりますが、「感染疑い→PCR検査の結果が出るまでの期間」に自治体が応援を出したケースを私は知りません。

 自治体からの支援は感染者が出てからになると思われますが、「感染疑い→PCR検査の結果が出るまでの期間」での対応が感染拡大予防にはとても重要です。

 

 4 個人防護具の着脱研修

 個人防護具がそろったら、着脱の研修をできるだけ早めに行っておきます。

 感染者が出てからは着脱の研修をするような余裕はありませんので、必ず事前にやっておきます。

 ゾーニングと個人防護着の着脱研修をしておかずに感染者が出たときの現場の混乱は相当大きなものになります。

 防護着を実際に着てみるといろいろなことがわかります。

 椅子がないとシューズカバーを着けづらい。

 姿見があった方がいい。

 2人で着た方が早い。

 防護着はあらかじめ1人分にセットしておいた方がいい。

 防護着を着るとかなり息苦しい、蒸し暑い。

 脱ぐ場所にも必要な備品がわかってきます。

 脱いだ防護着をどう捨てるかも考えておかなくてはいけません。

 

 5 PCR検査受診場所の確認、受診者搬送のシミュレーション

 感染疑いの入居者が出たときには、PCR検査場所まで各施設で搬送することになります。

 PCR検査場所を確認しておきます。

 搬送車を決めておき、運転席と搬送者を乗せる場所をビニール等で仕切っておきます。

 高齢者ケア研究会の各施設では、感染疑いの人が出た場合、個人防護具をつけて搬送するようにしています。

 防護着をどこで脱いでどう処分するかも決めておきます。

 個人防護具をつけていないと、搬送時に感染する可能性が高くなります。

 PCR検査受診後に結果が出るまで施設で待機する期間は、ゾーニングをして、個人防護具をつけて介護、看護にあたります。

 

6 栄養課から感染者発生時の食事提供体制の確立

 栄養部門のスタッフから感染者が出た場合のことを想定して準備をします。

 食事提供を委託している場合は、委託会社と感染者発生時の対応を確認しておきます。

 自前で食事を提供している場合は、非常食のストック数を確認します。

 同一法人の別事業所からの提供が可能かどうかも検討しておきます。

 

7 在宅系サービスが休止になった場合の利用者のサポート体制

 在宅系サービスが休止になった場合、家族等のサポートがえられず自宅での生活が継続できなくなる高齢者がいます。

 軽度の認知症で独居のかたや中重度のかたなどですね。

 そういった方たちを一時的にショートステイであずかったり、べつの事業所でサポートしたりする体制をととのえました。

 自法人の在宅サービスの利用者から、在宅サービスが休止になったときに自宅での生活継続が困難な方をピックアップします。

 ピックアップした方に代替サービスをどうするかを他法人と協力して計画しておきます。

 

 全国高齢者ケア研究会の各施設ではこれらを早い法人では5月中に準備を終えました。

 感染拡大には十分な準備が必要です。

 やっておけばよかった、と後悔だけはしたくありません。

*1PPE  Personal Protective Equipmentの略

(泉田照雄 08/04)

※関連記事

◆第2波に備える。緊急事態宣言解除後の高齢者介護施設の新型コロナウィルス感染拡大自衛策。施設内での感染拡大防止が最重要課題。6/23、6/16、6/13、6/4に追記あり。

2020年8月11日

毎月10日掲載「熊本県甲佐町特別養護老人ホーム桜の丘のお昼ごはん」第66回 「夏野菜大集合!第2弾 8月のごはん」 とうもろこしごはん ・ 白身魚とパプリカの甘酢炒め ・ 冬瓜の冷やし鉢 ・ 白玉団子の小倉和え

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長く続いた梅雨が明け、夏がやってきました。

毎日猛暑で体も疲れ気味。

そんなときこそ、しっかり食べて暑い夏を乗りきりましょう。

今回も夏野菜大集合!メニューです。

ごはんは「とうもろこしごはん」。

調味料は塩だけ。とうもろこしの甘さがより引き立ちます。

とうもろこしの芯を入れて炊きこむことで、おいしいだしがでます。

メインは「白身魚とパプリカの甘酢炒め」。

色鮮やかなパプリカが食欲をそそります。

体にたまった熱を冷やす効果がある冬瓜は、煮汁を含ませた「冷やし鉢」に。

冬瓜は淡泊なので、煮汁は濃い目の味付けにしました。

デザートはお盆によく作る「白玉団子の小倉和え」。

白玉粉に豆腐を混ぜることで、ふんわりと冷めても固くならない団子に仕上がります。

今年はコロナ感染予防のため少しさみしいお盆ですが、夏の献立で家族がたくさん集まったにぎやかな夏の日を思い出していただきたいと思います。

 

<献立>

とうもろこしごはん

白身魚とパプリカの甘酢炒め

冬瓜の冷やし鉢

味噌汁

白玉団子の小倉和え

 

とうもろこしごはん

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<材料> 2合分

米         2合

とうもろこし   100g(1/2本)

塩         5g

<作り方>

①とうもろこしは皮をむいて、芯の周りの実を包丁で切り落とす。

②米を研ぎ、炊飯器に米と分量の水、塩、とうもろこしの実と芯を入れて炊飯する。

 

白身魚とパプリカの甘酢炒め

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<材料>  1人分

白身魚        70g

塩           0.6g

小麦粉        6g

パプリカ(赤)    30g

パプリカ(黄)    30g

ピーマン       15g

玉ねぎ        30g

(A)

酢           5cc

砂糖          3g

しょうゆ        5cc

<作り方>

①白身魚は一口大に切り、塩で下味をつけ小麦粉をまぶし、油で揚げる。

②パプリカ、ピーマン、玉ねぎは、食べやすい大きさに切る。

③(A)の調味料を混ぜ合わせておく。

④鍋に油を熱し、②の野菜を炒める。

⑤野菜に火が通ったら、揚げた白身魚を混ぜ合わせる。

⑥(A)の調味料を加えて、全体に絡めるように炒める。

 

冬瓜の冷やし鉢

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<材料>  1人分

冬瓜      100g

だし汁     50cc

しょうゆ    4cc

塩       0.2g

大葉      1/4枚

<作り方>

①冬瓜は種とワタを取り、皮をむいて一口大に切る。

②鍋に冬瓜とだし汁、調味料を入れ、軟らかくなるまで煮る。

③粗熱がとれたら、冷蔵庫で冷やす。

④器に盛り、せん切りにした大葉を飾る。

 

白玉団子の小倉和え

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<材料>  1人分

白玉粉       20g

豆腐         20g

ゆで小豆      40g

塩           少々

<作り方>

①ボウルに白玉粉と豆腐を入れ、混ぜ合わせる。耳たぶくらいの固さに仕上げる。

  ※かたい時は、水を加える。

②①を丸め、熱湯に入れ、浮き上がってきたら冷水にとる。

③ゆで小豆に塩と白玉団子を入れ、混ぜ合わせる。

 

特別養護老人ホーム 桜の丘  管理栄養士 川本里江

※関連記事

毎月10日掲載「熊本県特別養護老人ホーム桜の丘のお昼ごはん」 第65回「夏野菜大集合! 7月のごはん」 ゴーヤチャンプル ・ 揚げびたし ・ トマトとオクラの冷製コンソメスープ ・ ヨーグルトムース ブルーベリー添え

2020年8月10日

毎週月曜日連載『ハピネス オブ ライフ~暮らしの楽しみを求めて~』第356回「コロナ禍での夏まつり」(地域密着型特別養護老人ホーム 美ヶ丘敬楽荘せせらぎの家ゆとり・北海道北斗市)

全国高齢者ケア研究会では、「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」をケアの目的の一つとして提案しています。
利用者の笑顔のある暮らし、喜びを感じられる毎日を「積極的に」つくりだすケアのことです。入居者の痛みや苦しみをやわらげ穏やかに暮らしていただくことを目指す「平穏ケア」と「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」が、ケアの目的だと考えています。
毎週月曜日に全国高齢者ケア研究会のメンバーで行われている「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」の取り組みを紹介していきます。
各施設は「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」を目標に、お年寄りが「穏やかで、そして笑顔で」暮らしていただけるよう取り組んでいます。

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新型コロナウイルス感染拡大防止対策を進めている中、行事等を思うように実施できないストレスを多くの介護施設・事業所が感じているのではないかと思います。

当施設が所在する北海道の道南、北斗市では未だ感染者ゼロが続いておりますが、シールド越しの面会を渡島管内在住者で一定の要件を満たす方に限定し、また、職員の行動自粛等を求め、感染予防に努めてきました。

しかし、最近の全国的な感染拡大傾向を踏まえ、再度、オンライン面会のみとさせていただきました。非常に残念な思いでいっぱいですが、ご入居者の命を守るため、今は必要なことなのだと思います。

このような状況ではありますが、少しでも夏を感じて楽しんでいただきたいという現場の思いから、ご入居者と職員だけの夏まつりを8月1日に開催しました。今回は、そのときの様子をご入居者の表情を中心にご紹介したいと思います。

当日は曇り空で、真夏日というわけにはいきませんでしたが、外の空気に触れながら、ほんの少し夏まつり気分を感じていただきました。

かき氷とわたあめ、夏まつりの定番です。
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今回は、お子さんのいる職員が家庭用のわたあめ機を持ってきてくれました。小ぶりでかわいいわたあめができました。量的には、このくらいがちょうどいいのかな?
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外の空気に触れるだけでも、ね!
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建物内の玄関ホールでは、「宝引き」が大盛況!
102才も大はしゃぎ!
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ん?なんだの、これ?
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ゲットしたぜィ!!
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お昼はみんなで鉄板焼きそばを食べました(^^♪
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短い時間でしたが、ご入居者の素敵な笑顔を見ることができました。

企画、準備、そして開催してくれた職員に感謝です\(^o^)/

次回は 8月17日 東京都 立川市 フェローホームズさんです。よろしくお願いします。

(地域密着型特養 美ヶ丘敬楽荘せせらぎの家ゆとり 伊藤 巧)

『※関連記事』

毎週月曜日掲載 『 ハピネスオブライフ~ 暮らしの楽しみを求めて 』第355回 こんな時だからこそ夏を満喫する ( 大分県 大分市市 明治清流苑 )

2020年8月 8日

◆ほぼ毎週水曜日掲載 今週の本&DVD ソール・ライターの写真集と『哲学と宗教全史』ときどき『スキウサギ』 7月の本

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 宇宙についての本を読んでいたら、高校の生物と化学の教科書が読みたくなった。

 パラパラと読んでいるが、40年前に学んだこととはかなり違っている(あたりまえですよね)。

 思った以上に楽しい。

 『哲学と宗教全史』は神田神保町の三省堂で買った。

 神田神保町は世界一の古書店街として知られている。

 約200の古書店や書店が軒を連ねている。

 カレーの街としてテレビや雑誌などで取り上げられることが多い。

 B級グルメの街でもあり、カレー屋さんの他にはラーメン屋と昭和の雰囲気の洋食屋がたくさんある。

 三省堂は神保町でいちばん大きな本屋で、できた当初はアジア最大の本屋だったらしい(今は池袋のジュンク堂がアジア最大だそうです)。

 僕はこの街で40年近く仕事をしているけど、時間ができるとふらふらと本屋をのぞいている。

 『哲学と宗教全史』にもどりますが、460ページの本だけど、見かけた瞬間、どうしても読みたくなってしまった。

 物事についての考え方のおさらいができた。

 多様な視点、多様な考え方がページをめくるごとに学べる。

 多様な考え方を頭の中にぎっしりつめこんだ読書で、つめこまれたものがこれからの生活にどんなふうに役立つのか見当もつかない。

 今までにない読書感覚で、それをうまく言葉にすることはできないけど、新しい感覚(概念)を一つ教えてもらった。

 中上健次の『岬』、村上春樹の『羊をめぐる冒険』『世界の終わりとハードボイルドランド』を読んだあとの感覚に近い。

 高校の生物と化学の教科書や『哲学と宗教全史』といった勉強系の本を読みたくなった時期だったのかなぁ。

 いつもはささっと読んでしまう四コママンガ『スキウサギ』が数ページ読んだだけで放置されているのも、そのせいかもしれない。

 60歳が近づくにつれて、本を読むのがほんとうに楽しくなった。

 『ソール・ライターのすべて』はソール・ライターの写真集。

 カウンターカルチャーの中心地、ニューヨークのイーストビレッジに何十年と住み写真を撮り続けた。

 バスキア、キース・ヘリングらが活躍していたイーストビレッジって、エキサイティングな華やかさがあったんだろうなぁ。

『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』という晩年のソール・ライターを描いたドキュメンタリー映画を見て写真集を買った。

 その映画の中でソール・ライターは写真のネガ、ポジがしまわれたほこりまみれの箱が足の踏み場もなく積み重ねられたアトリエから街へ出かけては写真を撮っていた。

 もうおじいちゃんだったけどカッコよかった。

 晩年の熊田千佳慕先生の家へインタビューで訪ねたことがあるけど、ふたりが重なって見えた。

 熊田先生もカッコよかったなぁ。

(泉田照雄)

2020年8月 7日

◆毎週金曜日掲載「全国高齢者ケア研究会 介護の知識50ver4」第30回~介護施設で必要な尿路感染の知識~

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高齢者介護施設では、尿路感染症にかかられている方が多くいます。高齢者介護施設における尿路感染症は、発熱をともなうことが多く、再発を繰りかえす方も多いです。
尿路感染症の利用者に対するケアは、高齢者介護施設ではとても大切なケアになります。

A)尿路感染症とは

腎臓から尿道までの尿路に起こる感染症で、ほとんどが細菌によって起こります。細菌が外尿道口から入り込んで発症することが多く、急性と慢性的な尿路感染があり繰り返しやすく、尿道が短い女性や高齢者に多いのも特徴です。病名は「膀胱炎」「腎盂腎炎」「尿道炎」などです。炎症が起きた箇所により病名が異なります。

今まで元気であった方が急に熱が出た場合、風邪や水分不足を疑うことが多いですが、尿路感染も熱の要因となっていることがあります。まず既往歴に尿路感染症があるかないかを確認しましょう。尿路感染症の要因(たとえば軟便や水様便)が改善されていなければ、再発のリスクは高いと考えられます。総合記録シートで排便の状態を確認します。次に、総合記録シートで37℃前後の体温になっていないかを確認しましょう。尿臭、尿色にも注意します。

以下の症状も確認しましょう。

(症状)
・尿が濁っている
・尿を出すときに痛む(排尿痛)
・何度もトイレに行く、頻尿や残尿感、失禁
・尿が赤い(血尿)
・腰痛、背部痛で左右の腰のあたりを叩くと鈍い痛みがある
・37℃前後の微熱
・38℃以上の高熱が出たり、その高熱が続く
・吐き気やおう吐、体重が増えない、食欲がない

尿路感染症の高リスク者は次のような方たちです。

(どのような方に感染しやすいか)
・女性
・高齢者
・尿路に前立腺肥大や癌がある
・おむつをしている
・カテーテル留置
・下剤服用者、軟便、水様便、1日複数回排便のある方

気をつけたいのは、下剤服用者、軟便、水様便、1日複数回排便のある方、カテーテル留置の方です。
カテーテル留置の方は陰部洗浄をていねいに行うことが大切です。下剤服用者、軟便、水様便、1日複数回排便のある方の再発予防には、食事ケアなどで便性状を改善していくことも必要になってきます。

B)予防方法

① 陰部洗浄の支援など、陰部を清潔に保つ。排便時の清拭は前から後ろにふく
② 尿もれパットなどは定期的に交換する
③ 水分をしっかり摂取する
④ バルーンカテーテルを留置している方は尿の逆流を防ぐためバックを膀胱より上にしない。ルートキャップの洗浄を毎日行う
⑤ 下半身を冷やさない
⑥ 体調に合わせ適度に運動する
⑦ トイレをがまんしない
⑧ バランスのとれた食事で便通を整える
他)既往歴の把握(繰りかえしやすい)

高齢者介護施設では、軟便、水様便、1日複数回排泄がある方が、尿路感染症を繰りかえすことが多いので、排泄状態のコントロールは、尿路感染症の予防にとても大切です。

≪ 実 践 方 法 ≫
陰部洗浄の方法
①  腰から下の部分に大きめのフラットタイプを敷きます。または使用していたオムツを広げ、水に濡れないようにします。
②  湿らせたガーゼやタオルに、必要に応じて石鹸をつけ、丁寧に陰部を洗います。その後、横向きにして最後に肛門も洗います。
  ※必ず、前から後ろに向けて洗います。大腸菌が尿道に入り込んで尿路感染症になってしまいます。
③  専用ボトル(400~450ml)などに入れたぬるま湯(34~35℃程度)をかけて石鹸を洗い流します。
④  乾いたタオルで肌の水分をふきとります。
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【陰部洗浄用シャワーボトル】
食器洗剤の入れ物やイソジンガーグルの空の入れ物では水の勢いやシャワーになっていないためきれいに流せません。専用の物を使用することをおすすめします。
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シャワーにしたりストレートにしたりとボトルヘッドを切りえられるタイプもあります。

下の写真のシャワーボトルは切り替えのないタイプです。
写真を見るとヘッドに穴がたくさん空いていて、水がシャワー状に出るのがわかります。
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(頻度)
入浴日以外は毎日行います。1日1回と排便時に行うことで皮膚トラブルを防ぎます。

(注意点)
高齢者は皮脂の分泌が低下しているので乾皮症になりやすい傾向にあります。よって、石鹸のつけすぎに注意します。トイレで排泄しているからといって陰部洗浄が不必要というわけではありません。場合によってはトイレやポータブルトイレでの陰部洗浄を行ってください。パッド使用者はとくに必要です。

(さくらの郷での対応例)
今のトイレには基本ウォッシュレット機能がついています。シャワーボトルを使用し、トイレで陰部洗浄が難しい場合、『ビデ』を使用し陰部洗浄を行っています。性器、陰毛、その周辺をきれいに洗い、清拭を行っています。ウォッシュレット自体の清掃も必須です。

(ガリラヤ荘/ガリラヤ久米での対応例)
居室ごとに陰部洗浄セットを用意しています。石鹸は泡立て用ボトルで準備し、ワンプッシュを基本として使用しています。石鹸はボディーソープを2:8の割合に水で希釈して準備しています。
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◎羞恥心に配慮して、素早く、ていねいにすることが大切です。

脱水と尿路感染の知識や予防方法は、介護スタッフにとって必要不可欠です。きちんとしたケアをしていれば、脱水になったり、尿路感染症になったりする利用者数を減らすことができます。介護スタッフは、排泄ケアにたずさわり、利用者の一番近くにいます。尿の濁りやにおいの変化にいち早く気づくことこそ、介護スタッフの重要な役割です。

C)尿路感染は、繰りかえしやすい疾患である。

尿路感染症は、繰り返しやすいのも特徴であり、その際は、泌尿器科の先生と相談しエコー検査や尿流量測定を行い膀胱の形態と残尿の有無を確認してもらい、排尿習慣や排尿障害について掘り下げ、排泄ケアの見直しをすることも大切な予防法になります。何より泌尿器科の医師の相談が大切になります。

尿路感染症の要因の多くは大腸菌
介護施設では、便の排泄ケアが不十分だと尿路感染症になりやすい。

尿路感染症のハイリスク者は以下の通り。
1. 軟便
2. 一日複数回便がある
3. パット内排泄で尿量が多い

これらの予防に対する取り組み例は、「介護の知識50第25回 重度の高齢者の「頻便」と「頻尿」 」の中でさくらの郷の膀胱内尿量測定有効的活用の紹介がありますので参照してください。

※)テキストのダウンロード

ダウンロード - v4-30介護施設で必要な尿路感染症の知識

(愛媛県東温市 高齢者総合福祉施設ガリラヤ荘 高橋雅志)

◆毎週金曜日掲載『私たちがやりたいケア介護の知識50ver4』 第29回~下剤の基礎知識と画一的な使用からの抜け出し方~

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 特別養護老人ホームの入居者の中には、4~5日排泄がなく下剤を常用しないと排泄ができない「下剤依存症」になっている方が多くいます。

 下剤を使用すると、腹部の痛みが出ることがあります。数日に一度、下剤による痛みを感じる生活はおだやかとは言えません。腹部の痛みは、認知症の周辺症状を悪化させてしまうこともあります。

 下剤に頼ることなく自然に排便することが、おだやかな暮らしにつながります。

1 下剤の基礎知識

1-1 下剤

 便そのものをやわらかくするように作用し、肛門からの排泄を容易にするものが「緩下剤」です。高齢者介護施設で使われている代表的なものは酸化マグネシウムです。

 腸管や腸壁を刺激し、腸の蠕動(ぜんどう)をうながすものが「刺激性下剤」です。代表的なものはピコスルファートナトリウム(ラキソベロン)です。

刺激性下剤の効果は強力ですが、徐々に薬剤耐性ができてしまい、効果が減弱します。腹部の不快感や痛みが出る場合もあります。習慣化や精神依存、便意が消失するという問題点もあります。

 酸化マグネシウムなどの従来の緩下剤、刺激性下剤はきちんとした臨床試験を経ているわけではないため、エビデンスに乏しく、どの程度の効果があるか、どのような副作用があるかが不詳であることから、「近年の臨床試験を経た新薬とは一線をかくす」とされています。(日本内科学会雑誌106巻11号「便秘症の診断と治療ー新の進歩」)

 そのため、酸化マグネシウムやピコスルファートナトリウムなどの刺激性下剤から、2012年以降に承認された新しい下剤に切りかわっている傾向があります。

 

1-2 下剤の種類

2012年以降に承認された新しい下剤は以下のものです。

〇新しい下剤

アミティーザ

・小腸で腸液を分泌させる

・小腸内の動きをスムーズにする。大腸へ通過後も便が軟らかい

【副作用】下痢 30%   悪心 23%(食事量減少になる)

リンゼス

・小腸で腸液を分泌させる

・アミティーザで「悪心」等の副作用が強ければ、リンゼスへ変更できるか医師の判断をあおぐ

・リンゼスには悪心の副作用はない

【副作用】下痢 9%

モビコール

・大腸で腸液を分泌させる

・酸化マグネシウムが効かなくなり、変更をする場合には刺激性下剤ではなく、より効果が高いモビコールに変更できるか医師の判断をあおぐ

【副作用】下痢 3.6%   腹痛 3.6%

ラグノスNFゼリー

・大腸で腸液を分泌させる

・ゼリー状で甘くて飲みやすい

【副作用】下痢 3.3%   腹部膨満 2.2%   腹痛 2.2%

グーフィス

・大腸で腸液を分泌させる

・大腸の蠕動運動を活発にさせる(刺激性下剤と同じ)

【副作用】腹痛 19%   下痢 15.7%

新しい下剤を含めた下剤をまとめてみました。

種類 薬剤名 商品名
浸透圧性下剤 塩類下剤 酸化マグネシウム

カマ カマG マグミット

重質酸化マグネシウム

水酸化マグネシウム ミルマグ
硫酸マグネシウム 硫酸マグネシウム
マクロゴール4000配合 モビコール
糖類下剤 ラクツロース ラグノス
D-ソルビトール D-ソルビトール
浸潤性下剤

ジオクチルソジウムスル

ホサクシネート


ベンコール

ビーマス

膨張性下剤 カルボキシメチルセルロース メチルセルロース 寒天
刺激性下剤 小腸刺激性下剤 ヒマシ油 ヒマシ油(各社よりあり)
大腸刺激性下剤 ビサコジル コーラック
ピコスルファートナトリウム ラキソベロン
センナエキス センノシド アローゼン プルセニド センノサイド
上皮機能変容薬 腸液分泌促進薬 ルビプロストン アミティーザカプセル
リナクロチド リンゼス
漢方薬   大黄甘草湯 麻子仁丸 大建中湯
その他   坐剤 炭酸水素ナトリウム坐剤 ビサコジル坐剤
    浣腸 グリセリン浣腸 微温湯浣腸 石鹸浣腸
  胆汁トランスポーター阻害薬 エロビキシバッド グーフィス
消化管運動賦活薬 5-HT₄受容体刺激薬 モサプリド ガスモチン

1-3それぞれの下剤の特徴

①塩類下剤(浸透圧性下剤)

 緩下剤とは、慢性便秘に対する長期的治療薬に適した下剤です。ひんぱんな投与量の変更の必要がなく、最も投与量対効果が安定している薬剤である反面、急激な効果を得られにくく、排便に対する精神的依存が強い場合(認知症高齢者に多い)は、使いづらいことがあります。

 通常の投与量では電解質異常は生じにくいですが、腎疾患や心疾患の方への長期投与は高マグネシウム血症の恐れがあるので避けるべきです。

 

②糖類下剤(浸透圧性下剤)

 ヒトの体内では吸収されない糖類が、浸透圧作用により腸内への水の移動を促進するとともに、腸内細菌によって有機酸を産生し、腸の運動を促進します。

 これまで日本では小児の便秘や産婦人科術後の排便促進にしか使えませんでしたが、欧米では多く使用されてきました。2018年9月(製造

承認)から日本において高齢者にも使用が可能となりました。

 

③膨張性下剤

 高繊維食による自然な排便促進作用を薬理的に行うような薬です。安全性が非常に高く、軽度の慢性便秘に対しては理想的な薬剤といえますが、散剤が多量で飲みづらいこと、苦労して内服した割に十分な効果が得られないことが多く、近年ではあまり用いられていません。

 高齢者介護施設では、この種の下剤に代わり、管理栄養士との連携のもと、日常の食事を高繊維食へシフトしていくことで、ヒト本来の排泄パターンを取もどすケアが行われるようになってきています。

 

④大腸刺激性下剤(刺激性下剤)

 散剤、錠剤ともにコンパクトで服用しやすいのが特徴です。

 便秘の程度を問わず、効果が速やかに出現することから、最も多くの便秘患者に好まれ、医師からもよく処方される下剤です。

 しかし、下剤の中では最も強い習慣性を有し、薬剤耐性(薬剤をいつもと同じ分量投与しても、効果を得られにくくなり、常用量が増加すること)を生じやすく、濫用されやすい傾向にあります。

 過剰投与による腸管への刺激により、便からの水分再吸収に異常が生じ、下痢を引き起こすことで、電解質異常や脱水などの副作用が生じやすくなります。

 作用が急激で副作用も見られますが、適切な用量と用法を厳守して使用すれば、その有用性は極めて高い薬剤です。

 

⑤上皮機能変容薬(水分分泌促進薬)

 小腸での水分分泌を促進することによって便を軟らかくし、腸管内での便の移動を安易にして排便を促進します。痛みに敏感になっている神経線維の伝達をおさえ、腹痛や腹部不快を改善します。

 

⑥胆汁トランスポーター阻害薬

 大腸管腔内で胆汁酸吸収が阻害され、胆汁酸が増加し、水分の分泌、消化管運動が促進し排便効果をうながされます。水分分泌と大腸運動促進の二つの作用があるのが特徴で、便の硬さは排便しやすい状態(正常便)に近づきやすくなります。

 内服開始時に、軽度の腹痛が起こることがあります。便秘症の方は腸の動きが低下していますが、内服によって腸の蠕動運動が活発になって、それが痛みとして感じられるのです。

 内服開始時に起こるような腹痛の大半は、その後に消失・軽減することがあり、「排便改善のお知らせ」と考えられます。

 使用上の注意として重篤な肝障害のある患者、胆道閉塞や胆汁酸分泌が低下している患者等では効果が期待できない場合があると書かれています。

 

2 下剤の画一的な使用からの抜け出し方

 

 本来、人間の身体は自然に排泄できるようになっています。高齢者は老化にともない、体力や代謝機能の低下、水分摂取がすすまなくなるといった理由で自然な排便が出づらくなります。

 自然な排便を取りもどすために、全国高齢者ケア研究会の各施設では医師の指示のもと、次のような介護、看護、医療連携に取り組んでいます。

 『便秘の基礎知識』『下剤の基礎知識』を踏まえて、本人・家族の理解と医師、看護職員、管理栄養士等の専門職と協力して取り組むことが大切です。

 

2-1 便秘の定義を理解する

 

 便秘とは、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。

 「便秘症」とは、便秘により排便回数減少による腹痛、腹部膨満感など、硬便による排便困難、過度の努責など、便排出障害による排便困難、過度の努責、残便感とそのための頻回便などの症状があることです。

 排便間隔には個人差があります。4日間排便がなくても、腹痛や腹部膨満感がない人もいますし、2日間排便がないと腹部のはりを感じる人もいます。

 大切なのは、本人にとって不快のない排便リズムを見つけることです。「便を出さなくてはいけない」という固定観念から画一的な下剤の使用となり、腹部の不快感、痛みによって認知症高齢者の周辺症状を悪化させているケースは少なくありません。

 

2-2 水分を適正量摂取する

 

 「介護の知識50」第3回「高齢者に必要な1日の水分量と排泄量」でもふれましたが、人は生命の営みに最低限必要な水分量があります。

 高齢者は、筋肉量が少なく保水量が少ないうえに、腎機能の低下により水分が多く排泄されてしまいます。

 水分がきちんととれていないと、便の水分量が低下し、固くなることで便秘を引きおこします。

 その方の体格や基礎代謝量、排泄量、疾患などで個別に異なり、あくまで目安ですが、経口摂取で1日1000~1400ccは必要です。食事からの水分摂取量が1000ccの場合です。

 水分が進まない方には、「介護の知識50」第4回「なかなか水分を取ってくれない方への水分補給の工夫」で紹介したように、好みの飲み物やすすみやすい時間を観察し、無理なくとっていただけるような工夫をしましょう。

 塩類下剤である酸化マグネシウム系の下剤を服用されている方は、腸からの水分吸収を促進する作用のため、もともとの水分摂取量が少ないと、薬の作用が十分に発揮されません。水分を300~400cc多く摂取する必要があります。もちろんこれも目安です。

 

2-3 日中活動の機会を作る

 

 高齢者の便秘の原因の一つとして、腸の動きが不活発になるということがあります。運動をすることで、腸の蠕動(ぜんどう)運動をうながします。

 起床時から朝食後の時間帯がもっとも蠕動運動が活発になる時間帯です。

 食事前の運動は、覚醒をうながし空腹感も感じてもらえます。

 蠕動運動のうながしも加えると効果が高くなります。

 蠕動運動のうながしには、腹部マッサージやお腹を温めてマッサージをする「温罨法」(おんあんぽう)が効果的です。

 

2-4 排泄パターンを知る

 

 排泄パターンは人により異なります。総合記録シートでその方の排泄パターンを確認しましょう。

 排泄パターンは排泄の時間帯、食事や水分摂取量との関係、睡眠状況、服用している薬など、さまざまな視点から総合的に分析します。

 一日に複数回排便がある場合は、最も排泄量の多い時間帯を排泄周期と仮説を立てトイレに誘導します。

 刺激性下剤の使用により、本来の排泄パターンからずれていることも考えられます。医師や看護師を相談し服用のタイミングをずらして確認してみるのも方法の一つです。

 

2-5 トイレに座る工夫をする

 

 トイレに座ることは自然な排泄の基本です。

 座位姿勢(前傾)になることにより、腹圧(いきみ)、重力を使い、排泄をうながします。臥床姿勢では、腹圧と重力が働かず、腸内に便が停滞してしまいます。

 「座位が安定しない」または「体力的に困難」などの理由で、トイレに座ることを避けることがあります。この場合は座れない原因がなにかをアセスメントし、可能な限りトイレに座れる工夫をしましょう

 

 ・座位が不安定

 ⇒① ファンレストテーブルや前腕支持型の補助具や歩行器を改造した物をを使います。

  ② スタッフが体を支えます。

 ・体力的に困難

 ⇒ポータブルトイレを使い、移動距離を少なくします。

 ・褥瘡や骨の突起により便座に座れない。

 ⇒便座の部位を当たりのやわらかい素材にします。

 

 トイレで排泄することは身体の仕組み上でも、本人の自尊心を守り、満足感を得るためにも、とても重要です。

 

2-6 自然食品を試す

 

 自然排便を促すために、自然食品を試すという方法があります。

 高齢者ケア研究会の各施設では「玄米」を使ってしています。高い栄養価とその味は、多くの施設で取り組みが広がっています。

 他にも、

  ①繊維質の多い食材(さつま芋、人参、ゴボウ、豆、キノコ、海藻)を使った高繊維食

  ②腸内の善玉菌を増やすヨーグルト、オリゴ糖など

  ③繊維を多くとれるファイバー、寒天

 さまざまな自然食品があります。

 

3 便秘の種類別の対応方法

 

・大腸通過遅延型

【対応】

 ①水分を多く飲んでもらう

 ②ファイバーを活用し、便に水分を含ませる。(量増し)

 ③乳製品(ヨーグルト・牛乳)

 ④オリーブオイル(胆道系疾患の方以外)

 ⑤腹部マッサージ・温罨法

 ⑥モビコール使用

 ⑦刺激性下剤

 

・大腸通過正常型

【対応】

 ①(食事が減少していれば)食事ケアを見直す

 ②自然食品を活用する(量増し)

 ③直腸までおりてきていれば、レシカルボン座薬などを使用

 ④硬便であればモビコールを使用

 

・機能性便排出障害

【対応】

①腹圧をかける(トイレ誘導)

②腹部マッサージ

③レシカルボン座薬

④指示が通じる方には恥骨直腸筋運動

 

 恥骨直腸筋は排便時にゆるみますが、骨盤底筋協調障害などが起こると、いきむことで恥骨直腸筋がゆるまなくなり便を排出できなくなります。

 恥骨直腸筋運動で、排便時に恥骨直腸筋がゆるむようにリハビリします。トイレに長く座る習慣のある人に有効です。

 椅子に座って5秒間肛門をしめて、5秒間ゆるめます。

 繰り返し行うことで、排便するときに恥骨直腸筋がゆるむようになっていきます。

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《実践方法》

 3日間排便がないと刺激性下剤(センノシド)を使用していた利用者への取り組みを紹介します。

 取り組むにあたっては、必ず本人・家族の理解と看護職員の協力、医療連携が必要です。

 

1、既往歴を調べます

 大腸癌やシャント術を受けている方などの場合は、定期的に便を出す必要があります。

イレウス(腸閉塞)の既往がある方は、「下剤で予防」としているということがありますが、竹内孝仁氏は、『下剤を飲むことでイレウス(腸閉塞)の予防にはならない』と書いてます。

 

2、服用している薬を確認します

 高齢者はたくさんの薬を服用している場合があります。薬の副作用によって便秘をおこしていないかを確認します。

 場合によっては、医師に相談して服用を見直します。

 

 以上を踏まえて取り組んでいきます。

 

☆1 下剤服用はすぐには止めず、自然排便へのさまざまな取り組みを行います。

 ・下剤と併用して水分摂取量を増やします。

 ・自然食品(玄米等)や繊維食を管理栄養士と相談して提供します。

 ・PT等の機能訓練指導員と相談して腹部マッサージを実施。

  散歩やレクリエーションに参加してもらい運動量を増やします。

☆2 下剤服用の期間を一日ずつ伸ばします。

 ・総合記録シートで排便周期を確認します。下剤投与の頻度と排便状況です。

 ・下剤投与しなかった4日目の状態を現場責任者、看護職員、管理栄養士、介護職員が把握します。

  看護職員は、聴診器により「腸の音」に問題ないかを確認します。

  介護職員は、以下のことに注意して観察します。

 ①食欲不振

 ②気分不快

 ③頭痛・頭重

 ④吐き気

 ⑤腹部の膨満感や腹痛

 

☆1から☆2までを7日目くらいまで異常がなければ続けます。

もちろん、家族の理解や医師の往診で状態を診ていただきます。

これらの取り組みで、かなりの方が画一的な下剤の使用から抜け出すことができました。

 

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(北海道北見市 特別養護老人ホーム 光の苑 介護サービス課長 菅原和也)

2020年8月 5日

◆毎週水曜日連載『全国高齢者ケア研究会先進事例レポート 認知症ケース 第168回』自宅からの単独外出の繰り返しや不安からの易怒的な行動が軽減したケース(北海道鷹栖町 小規模多機能ホーム鷹栖なごみの家)

全国高齢者ケア研究会に参加する各施設では、トータルケアに取り組み、先進的なケアを行っています。
 このブログでは、各施設での実践事例を「全国高齢者ケア研究会先進事例レポート」として紹介しています。
毎週水曜日掲載です。
 今回は北海道鷹栖町 小規模多機能ホーム鷹栖なごみの家からのレポートです。
 「自宅からの単独外出の繰り返しや不安からの易怒的な行動が軽減したケース」の報告です。
 ケース検討は、基本的にICF(国際生活機能分類、International Classification of Functioning,Disability and Health)の考え方をベースに、BPSD治療アルゴリズム(「かかりつけ医のためのBPSDに対する向精神薬使用ガイドライン第2版」所収)に沿って行っています。

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◆基本情報

 氏名 168様

 年齢 91歳

 性別 女性

 要介護度 要介護3

 身長 137.8cm

 体重 43.8kg

 現病歴 認知症 骨粗鬆症 高血圧症

  服薬状況 ドネペジル塩酸塩OD錠5mg 

                アルファカルシドールカプセル0.5 150mg

                 ニザチジンカプセル150mg 

                 カムシア配合錠LD「ニプロ」

◆課題

 1)自宅からの単独外出

 2)不安、イライラ感等で易怒的な事多くなってきている

◆経過

H28.7よりSHなごみ利用開始。

町営住宅(日中支援員が一人)にて独居。身の回りの生活動作はほぼできている。自宅内の整理整頓はできている。調理に関しては行っていない。排泄の失敗が時折あり。くもん学習療法を実施している。

昨年7月頃、夜間住宅内の廊下を歩き回っている姿を見かけるようになり、易怒的なことも増えてきたため、カンファレンス行う。

要因として脱水と便秘の仮説をたて、水分摂取量の増加、スムーズな排便を目標に取り組み、同時に利用日も追加した。

その後、自宅で過ごす時間も減ったこともあり、夜間の外出行動もなくなっていたが、今年5月に、20時、21時と住宅の外のごみステーション前でパジャマ姿でいるところを発見される。その際は近隣住民の声かけで自宅に戻られることができた。

令和元年9月より利用を追加

通い:毎日(7:30~20:00)町内在住の家族の迎えにて帰宅

泊まり:水・金・日

訪問:火水金日 7:30外出準備(起床介助、着替え)

・不穏時、以前から髪をむしる動作あったが、むしる量が増え、テーブルに並ぶ量が多くなった。

・他利用者からその行動を注意や指摘を受けると、声を荒げ攻撃的な言葉で対応してしまう。

・学習療法に関して、誘導の声かけだけで断られることや、机に着いても全く始められないこともあるが、不穏な時でも学習が始まると笑顔でスムーズに学習できることもある。

・なごみの家泊まり時、夜間トイレに起きた時や不安な時には居室から出てこられスタッフに「分からない、合わない、どうしたら良い」と声をかけることある。大丈夫なことやトイレ促し休むと伝えると安心され休まれる。

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◆要因

1)脱水がある

水分進まないことが多く摂取量も600~1200ccとばらつきがある。

2)排便時、排便後の不快感がある

排便後でも便意の訴えありトイレに頻回に通われる。硬便や自己摘便は見られていないが、いくつかあるトイレをはしごし行く先々でウォシュレット使用し、衣類が濡れてしまうことも多く、フロアーに戻れないこともある。排便は週1~2回。その他、ご自身で流されていることや自宅での排便についても把握しきれていない。

3)認知症の進行

失見当識と記憶障害の低下により、不安感からどうしたらよいか不穏になるのではないか

4)外に出やすい環境となった

夜間、集合玄関の自動ドアを自動から手動へ切り替えていたが、畑作業始まった5月頃より住宅住民から手動での開閉が大変と苦情があり、自動のままにしていたことから、外へ出ることが容易に外へ出ることができるようになったためではないか

5)ドネペジルの影響

長期服用で興奮、易怒性が強くなってきているのではないか

◆検討したケア・実施したケア

1)本人の好まれる甘めの飲み物を準備する。色んな種類の飲み物から選択してもらい水分目標1300ccとする。

2)起床時、又は来所時にコップ一杯冷水を飲んで頂き、腸の動きを活発にする。便意ある際にトイレ同行させてもらい、排便状況・便性状の把握と、腸音の確認。排便後であれば、排便があった事を伝えることと、肛門周囲マッサージで降りてきていないことを確認。

3)自宅で不安になった時に安心できる言葉を書いたプレートを自宅内に掲示しているが、目にとまるよう毎日違う色、形、内容の物を掲示してみる。(代替行動の取り組み・・・1週間に5つずつ試す。学習療法は継続。) 

4)その他

・高齢者住宅の支援員、住民の協力。廊下へ出ているのを見かけた際の声かけと時間帯本人の様子などの情報を支援員より頂く。

・送り時、ご家族に自動ドアを手動に切り替えていただく。自動ドアにはプレートの掲示(現在手動となっています)、5:00頃住民の方の協力を得て、プレートの引き上げと自動ドアへの切り替えをしていただく。

5)ドネペジルについては上記の対応をした上で、主治医へ相談する。

 ◆結果

代替行動への取り組みに関しては、上手くいかず、楽しく集中出来る物は出て来てはいませんが、あきらめず探っていこうと考えています。

学習療法は継続はできており、学習療法の20~30分間は明るい笑い声が響く良い時間となっていますが、「合わないの・・・」「分からんの・・・」「どうしたら良いの・・・」との言葉は毎日あり、髪の毛をむしる行動や他利用者からの声かけに対して急に怒り出したり、攻撃的な言葉を使うことも少なくはなりましたが、無くなってはいません。

単独外出については、その後見られておりません。ご家族、地域の方々の協力のもと、現在も高齢者住宅での生活を継続することができていますが、認知症の進行と共に、自宅で一人でいる時の不安や焦燥は以前より確実に強くなっているように見受けられます。

グループホームの入居申し込みはしていますが、できる限り168様が安心して穏やかに、そして安全に生活できるよう、チームで取り組んで行きたいと思います。

(小規模多機能ホーム鷹栖なごみの家 管理者 林崎 美紀)

次回は、愛媛県東温市 特別養護老人ホームガリラヤ荘さんです。

よろしくお願いします。

※関連記事

◆毎週水曜日連載『全国高齢者ケア研究会先進事例レポート 認知症ケース 第167回』高齢による体力の低下により、覚醒状態の悪化により食事・水分量が減少した方へのケア(北海道網走市 向陽ヶ丘レインボーハイツ)

◆認知症カンファレンスシートがV29になりました。ダウンロードしてください。

◆かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)改訂版が発表されました。

2020年8月 3日

毎週月曜日掲載 『 ハピネスオブライフ~ 暮らしの楽しみを求めて 』第355回 こんな時だからこそ夏を満喫する ( 大分県 大分市市 明治清流苑 )

全国高齢者ケア研究会では、「ハピネス オブ ライフ( HOL=Happiness of life)をケアの目的の一つとして提案しています。
高齢者の笑顔ある暮らし、喜びを感じられる毎日を「積極的に」つくりだすケアのことです。
入居者の痛みや苦しみをやわらげおだやかに暮らしていただくことをめざす「平穏ケア」と「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」が、ケアの目的だと考えています。 
毎週月曜日に全国高齢者ケア研究会のメンバーで行われている「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」の取り組みを紹介していきます。
各施設は、「ハピネス オブ ライフ(HOL=Happiness of life)」を目標に、お年寄りが「穏やかでそして笑顔で」暮らしていただけるように取り組んでいきます。
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 7月28日大分でも約3ヶ月ぶりに新型コロナウィルスの陽性者が出ました。明治清流苑では、6月に面会禁止を解除し面会を予約制とし対応していましたが、7月28日より再度面会禁止となりました。非常に残念です。
夏の行事が中止となり、ご利用者様も「今年はさみしい夏ねー」。今の状況下を考えると仕方がないことだとわかっていても、どうにかできないものかと職員同士が考えた結果、今の状況下でも、ご利用者様に夏を感じてほしい、本来あるべき姿を少しでも取り戻すことが出来たら良いなと考え、小さな夕涼み会を開催しました。(7月28日以前に開催致しました) P1050033

 

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 スイカとノンアルコールビールを用意。連日大雨が続いていた大分でしたが、この日は天気にも恵まれました。

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 施設で作ったシソゼリー等、ご利用者様は食べたいものを手に取り職員との談笑を楽しんで過ごしました。

 

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 職員のお子様の参加もあり、遊ぶ姿をみてご利用者様は笑顔に溢れていました。

すると、ご利用者のM様が「はよ、おいで。これ食べ」とスイカを差し出すと子供が走ってきてパクっと。

 

 新型コロナウィルスはご利用者様の生活環境に影響を及ぼしてきていますが、私たちは日々「今できること」を全力で「本来あるべき姿」を早く取り戻し、ひとつのケアを丁寧に行い、チームとしてこの状況の中でも楽しく過ごしていきたいと思っています。

 次回は8月10日、北海道の美ヶ丘敬楽荘(せせらぎの家 ゆとり)さんです。
 よろしくお願いいたします。

 ( 大分県 明治清流苑 相談員 平山 敦士)

※関連記事
毎週月曜日掲載 『 ハピネスオブライフ~ 暮らしの楽しみを求めて 』第354回そーしゃるでぃすたんす(北海道鷹栖町 ぬくもりの家えん)

 

2020年8月 2日

◆2020年8月7日(金)、9月15日(火)、10月6日(火)に開催される「第1回全国高齢者ケア研究会オンラインセミナー」のご案内

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 長雨の候、梅雨明けが待ち遠しい季節です。
 2020年8月7日(金)、9月15日(火)、10月6日(火)に開催される「第1回全国高齢者ケア研究会オンラインセミナー」の申し込みが始まりましたので、ご案内させていただきます。

 8月7日(金)は「円背がある方の適切な食事姿勢 講義・実技」です。
 全国高齢者ケア研究会の多くの施設で円背のある方の適切な食事姿勢が実現できていません。食事ケアの中でも大きな課題だと考えています。北海道鷹栖さつき会と北海道美瑛慈光園の理学療法士が「円背がある方の適切な食事姿勢」を5つのステップでわかりやすく解説します。受講者も車椅子、クッション、ナーセントパット等を用意して、講師と同様の作業をしながら進めるプログラムです。介護職のリーダークラスに身につけていただきたい技術です。

 9月15日(火)は「円背がある方の食事姿勢 事例解説」です。
実際に食事姿勢を改善した事例を北海道鷹栖さつき会と北海道美瑛慈光園の理学療法士が解説します。改善事例を通して、より深く具体的に円背がある方の適切な食事姿勢について学ぶことができます。姿勢を整えることで食事量が増え、状態がよくなる方がいることを感じてもらえたらと思っています。

 10月6日(火)は、介護予防事業やデイサービスセンターのリーダー向きの講座です。「高齢者のためのピラティス・プログラム」「腸を動かす運動プログラム」「起立着席運動」を解説します。
「高齢者のためのピラティス・プログラム」では体幹とインナーマッスルを強化する運動を紹介します。「起立着席運動」は筋力強化作用が大きく、転倒の危険が少なく、集団でもできる運動です。介護予防事業やデイサービスセンターの運動として取り入れている北海道光の苑の理学療法士が解説します。
 便秘は高齢者の大きな悩みです。在宅サービス利用者のなかにも下剤を手放せない「下剤依存症」になっている方がたくさんいます。「腸を動かす運動プログラム」「高齢者のためのピラティス・プログラム」「起立着席運動」はデイサービスセンターのメニューとしておすすめです。
 また各回で、そのときの状況に応じて、全国高齢者ケア研究会各施設の新型コロナウイルス感染拡大予防対策について解説します。

 お申し込みは、このブログのコメントで参加の旨をご連絡ください。
 接続用アドレス、テキスト、参加費支払口座等をメールで返信いたします。
 定員は30施設です。
 1件の申し込みで1アドレスお送りします。
 複数カ所で受講希望の場合は、必要なアドレスの数分お申し込みください。
 みなさまの参加をお待ちしています。

 要綱、プログラムは下記からダウンロードしてください。

 ダウンロード - online120youkou.pdf

ダウンロード - online120program.pdf

(泉田照雄)

◆ほぼ毎週水曜日掲載 旅先でスーパーの魚売り場に行く理由、今週の本&DVD 『クマにあったらどうするか』 アイヌ民族最後の狩人 姉崎等 ちくま文庫

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『クマにあったらどうするか』 アイヌ民族最後の狩人 姉崎等 ちくま文庫

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 いろいろな町を旅する。

 観光名所や絶景スポットも巡るけれど、時間があれば、それぞれの町でどんな暮らしが営まれているのかを見たくてスーパーや食料品店をのぞく。

 スーパーにはその町の暮らしがはっきりとあらわれている。

 魚売り場の魚や惣菜やお菓子のコーナーがわかりやすい。

 沖縄のスーパーの魚売り場では赤いグルクンを売っていたり、屋久島のスーパーではとれたての首折れサバを売っていたりして、ふ〜ん、そういうものなんだなぁと思う。

 ただそれだけのことなんだけど、けっこう楽しい。

 この本は5年ほど前に読んだので今回は2回目。

 前回読んだ動機はクマ除け。

 北海道で釣りをするときにけっこうクマが出没するところを歩くので、クマの行動を知っていると、何らかの安全対策になるのではないかと。

 とても参考になって書いてあることのいくつかは実践中。

 今回はアイヌの狩人の暮らしってどんなものだったんだろうと興味がわいて読みました。

 いやはやなんとも、読んでいるだけできびしさが肌身にしみました。

(泉田照雄) 

2020年7月31日

◆毎週金曜日掲載「全国高齢者ケア研究会 介護の知識50ver.4」第28回 端座位がとれる方の自力排便をうながす排泄介助

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 高齢者は運動不足や筋力の衰え、薬の副作用等により、便秘になりやすい状況にあります。座位排泄により直腸を空にすることが、下剤に頼らない自然排便をうながすためにも重要です。

1.端座位の排便に関する効果

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        図版引用:『新しい介護』 講談社 監修著者 大田仁史・三好春樹

 排便するときには、主に次の3つの力が働きます。

①直腸の収縮力

②腹圧

③重力

 これら3つの力は、座った姿勢で最も働きます。

 座った姿勢では、内臓が「重力」で下がるので「腹圧」がかかります。また、足のふんばりがきくので、腹筋に力を入れやすくなります。

 足でふんばり、腹筋に力を入れ、内臓が下がることで腹圧が強まり、直腸の収縮力が助けられます。

 足底に体重がのった座位をとることで、意識レベルも向上し、いきむ力も向上します。

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     図版引用元:アイリス

         (http://web.kyoto-inet.or.jp/people/irisiris/freestuff/bone_name.html)

 寝た状態では、重力によって内臓(オレンジの部分)は、背骨の湾曲により胸郭に押し上げられます。これでは排便に重要な力=「腹圧」がかかりづらくなってしまいます。

 また、便が直腸を過ぎ、肛門から排泄される時、直腸と肛門の角度(直腸肛門角)が鋭角になります(下図左側)。

 ちょうど肛門の前に山ができるような形になり、便はその山を乗りこえなければ排泄されません。

 座った状態になると、直腸と肛門の角度(直腸肛門角)は鈍角になり、便が排泄されやすくなります(下図右側)。Photo_4     図版引用元:ケアサポ

    (http://www.caresapo.jp/fukushi/kihon/kaigo/83dn3a000000c4er.html)

 仰臥位(あおむけ)では、足のふんばりがきかないため、おなかに力を入れることが困難です。寝た姿勢での腹圧は、座位の半分程度といわれています。

 以上のような理由から、臥床姿勢のままでの排便は難しいことがわかります。

 

2.排便に適した姿勢

 排便のために最も適した座位姿勢は、直腸肛門角がほぼ直線化する「スクワッド姿勢」と言われています。

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 上図の右がスクワッド姿勢です。背骨と太ももの角度が35度となる姿勢です。背筋はなるべく伸ばします。足台を使用し、肘を膝にのせるようにします。

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 直腸が直線化し、恥骨直腸筋がゆるむことで排便されやすくなります。
 骨盤底筋協調障害がおこると、いきむことで恥骨直腸筋がゆるまなくなり、便を排出できなくなります。指示が通じる方であれば、恥骨直腸筋をゆるめるトレーニングが効果的です。
  • トレーニング方法:5秒間肛門を閉めて、5秒間ゆるめるを繰り返し行う。

 

3.安定した端座位をとるための工夫

Photo_5     図版引用元:『新しい介護』 講談社 監修著者 大田仁史・三好春樹

 膝を上げると後方に倒れてしまう方や、排便が終わるまでスクワッド姿勢を保つことができないかたもいらっしゃいます。

 その場合は、図のようにやや前傾姿勢、背中は丸く、足は引きぎみで足底がしっかりと床についた状態となります。つま先を立てるように座るほうがより腹圧がかかり、直腸肛門角も垂直に近づくため排泄しやすくなりますが、座位が不安定になるため、支えが必要な高齢者には適しません。

 便座に座ってから、排便が終わるまで10分程度必要なかたもいらっしゃいます。そのため、この姿勢を無理なく保持できるように、姿勢や環境を工夫する必要があります。

(ア)姿勢の保持

・前かがみの姿勢を保持できない方のため、クッション性のある背もたれを設置。

(注1)座っていれば良いわけではありません。

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  これでは立っている姿勢とほとんど変わりません。

  上半身の緊張が強いため、姿勢の補正が必要です。

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  前方にテーブルを置くことで座位が安定しています。

  ファンレストテーブルも効果は同様です。

  図版引用元:『座位が変われば暮らしが変わる』 中央法規 大渕哲也著

・横倒れ防止のため、肘かけを設置

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・最近の便座は高さが42cmほどあるため、小柄な方では足を引いた姿勢をとることができません。そのような場合は足台を使用します。

・やや前かがみの姿勢を保持するために、ファンレストテーブル、テーブル、クッション等を使用します。

Photo_3  図版引用元:排泄ケアナビ

  (http://www.carenavi.jp/jissen/ben_care/syukan/shisei.html)

    ●ファンレストテーブル使用方法

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  図版引用元:高島屋スペースクリエイツ株式会社 FANレストテーブル カタログ

・お尻が小さな方にとっては、一般の便座の穴は大きすぎるため、お尻が落ちこんだ姿勢になり、前傾姿勢が取れなくなります。そのような時は、便座の上にのせて使う「やわらか補高便座」を用いると、穴が小さくなり、座位が安定します。骨ばっていて、座ると痛みがある人にも有効です。座面が高くなってしまうため、足台での調整が必要な場合があります。

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     図は、お尻が落ち込んでしまい、前傾姿勢が取れない様子。

     図版引用元:『座位が変われば暮らしが変わる』 中央法規 大渕哲也著

    ●やわらか補高便座

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      臀部が前方にずれても、簡単には抜け出ないようになっています。

・ポータブルトイレを使用する場合の注意事項も、上記と同様です。

Photo_8   図版引用元:『新しい介護』 講談社 監修著者 大田仁史・三好春樹

 プラスチックよりも、木製の重みのあるものの方が移P乗のときなどに安定します。

 安価なポータブルトイレは全体が台形のような形になっており、足を十分に引くことが出来ないため、筋力が低下されている人には、座る・立つ・ふんばるすべてにおいて困難な場合があります。

 

 

 

 

 

 

(イ)環境設定

・明るさと広さ

 フルリクライニングや、ティルト式の車椅子を利用されている方がトイレを使用する場合、広いトイレは有効です。一方で、認知症の方にとって、明るく広すぎる場所はトイレの認識を困難にさせてしまいます。リビングや廊下より明るさを下げ、広すぎないトイレを選べることが理想です。

・洗浄ボタン

 洗浄ボタンが便器横についている場合、移乗介助の際に邪魔になったり、車椅子がぶつかることがあります。また、立ち上がる時に肘かけにつかまって立つように手で押さえてすまうことがあるため、壁かけタイプのほうが良いでしょう。ご自分で押せる場所に設置することが大切です。

・トイレ後方に介助スペースを確保

 タンク式や壁付けのトイレは、トイレ後方に介助スペースがとれません。ズボンを下げたり、パッドをあてる時に、トイレより後ろにスペースがあると、介助しやすくなります。

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 ●後方からの介助                 ●便器と壁の間の介助スペース

(ウ)事故防止

 大量の排便があると、腹圧が一気に減少します。それにより迷走神経反射が引き起こされ血圧が急激に低下し、意識消失して倒れてしまうことがあります。

 大量の便を溜めることなく、日々排便が行われれば良いのですが、反射なので防ぎきれません。排便後の意識消失を想定し、あらかじめファンレストテーブルや、安定したテーブルを体の前方に設置し、トイレからの転落を防ぎます。クッションとの併用も効果的です。

(注2)排便後の急激な意識消失を便ショックと呼びます。

 脳の血流減少が原因なので、できるだけ足を高くして臥床し、安静にします。数分から15分程度で改善することが多いです。

 

4.座位排便をうながす効果的なケア

 座位をとればすぐに排便されるものではありません。水分や食事量、薬の調整等により、便の形状や腸の動きを意識した日常のケアが重要になります。

(ア)「下剤依存症」から抜けだす総合的な取り組み

・水分と食事量を適正量摂取できるよう促す。

・日中、活動の時間を増やす。

・排泄パターンを知る。

・食事内容を見直す。

・疾病や服薬状況を確認する。

  ⇒介護の知識50『第30回下剤の基礎知識と画一的な使用からの抜け出し方』で詳しく説明予定。

(イ)誘導時間の調整

・上記の排泄パターンを知ると同じですが、一般的には朝食後が最も「起立反射」や「胃結腸反射」が重なり腸の蠕動運動がもっとも活発になるため、トイレ誘導を行います。朝食後に排便がない場合は、昼食後、夕食後など、食後にお誘いします。

・排泄は習慣作りが大切です。一度排便が無いことで諦めず、繰り返し同じ時間に座っていただく機会を作ります。

(ウ)オムツや尿取パッドに排便があっても座る

・オムツや尿取パッド内に排便があった場合、「便が出たからもう直腸に便はない」と考えるのではなく、頻便状態で便が押し出されているだけで、腸の中にはまだ便が残っていると考え、座位排泄による排便をうながします。

(エ)腹部マッサージ

・便秘やガス貯留などによる腹部膨満時、マッサージをすることにより、腸管を刺激し、血液循環を良好にし、腸蠕動を亢進させます。

・トイレに座ってから行うのではなく、仰臥位で行います。

・おへその下から「の」の字を書くように上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸に沿って手のひらを使ってマッサージを行います。

(注3)腹部マッサージの詳細は、介護の知識50第64回「腹部マサージ」を参照してください。

 腹部マッサージを行ってはいけない場合があるので注意が必要です。

 ※腹部マッサージの禁忌

 ①腹部の急性・慢性疾患

 ②腹腔内の手術や照射療法の後

 ③大動脈瘤

 ④腸閉塞の既往

 ⑤骨盤静脈血栓症の既往

 ⑥てんかん

 ⑦原因不明の痛みを感じる場合

(オ)排泄最優先のケア

・便意の訴えがあっても、トイレ誘導ができないことが続くと、直腸に便が溜まっていても便意を感じにくくなることがあります。結腸反射や直腸反射は本人がコントロールできるものではないので、感じたときになるべくすぐにトイレに座っていただくことが重要です。

テキストのダウンロード

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(特別養護老人ホーム美瑛慈光園 施設長 安藤挙利)

◆毎週金曜日掲載『私たちがやりたいケア介護の知識50ver4』 第27回~利用者の状態に合ったパッドの使い方の基本~

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尿取りパッドの使い方の基本を紹介します。

1.吸収のメカニズム

 「夜用」「長時間用」と呼ばれるパッドは、数回分の尿を下層から段階的に吸収する構造になっています。すぐに取り換えられない場合を考慮し、2~3回分の排尿を吸収し、後戻りさせないようにできています。
 1回目の尿を吸収した表面は乾きます。2回目の尿は1回目の尿を吸収した部分をこえて、徐々に後ろ側に広がり吸収されます。(図1「尿とりパッド」の内部構造(断面図)参照)
 表面から吸収された最初の尿は最下層まで浸透し、下の層から固められます。次の尿に備えて上の層に余裕を残しておくのです。
 こうした機能によって、表面をサラッとさせながら2回~3回分の尿を吸収します。

おしっこ3回分(450cc~500cc)を吸収

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図1「尿取りパッド」の内部構造(断面図)


2.尿取りパッド種類と使用のポイント

①吸収量
少量タイプから大容量タイプまであります。吸収量が多くなればなるほど、厚くなります。

②通気性
尿取りパッドの外側がビニールタイプと不織布タイプがあります。不織布タイプは赤ちゃんのおむつにも使われていて、通気性がいいです。

③ギャザーの有無
ギャザーがある尿取りパッドはギャザーを指でしっかりと立てなければ横もれしやすくなります。

④溝があって素早く吸収できるタイプ
尿を素早く吸収するための溝です。尿が広がりにくくなるため、皮膚トラブルの予防にもつながります。尿量が多い方にも適しています。

溝があるタイプのパッド
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(真ん中に溝があります)

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(実際に切った断面図です)


⑤両面吸収できるタイプ
陰部と尿取りパッドの間に挟むタイプで、シートのどこからでも吸収可能な全面吸収構造になっています。

両面吸収タイプ(エルモア 両面吸収安心パッド)
両面共に吸収素材の為、尿が通り抜けるようになっています。
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男性用の包みこむタイプ
陰茎がしっかりとサポートされて、尿取りパッドが外れにくくなります。前立腺の手術などで、包みこむのが難しくなっている方は、女性のおむつの当て方のほうが適している方もいらっしゃいます。


男性用包み込むタイプ(サルバ 尿取りパッドスーパー男性用)
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(ギャザーにある青い線のところが開きます)

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ペンを陰茎と考えて見て下さい。

軟便対応タイプ
専用の吸収構造で軟便が吸収しやすいため、軟便で横もれしやすい方などに使用します。


軟便対応タイプ 吸収イメージ図 
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軟便対応タイプ(アテント お肌安心パッド 軟便用)

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拡大したパッド


3.パッドの考え方

 尿取りパッドの選び方はメガネと同じです。
 メガネは顔の大きさや視力の強さによって、一人ひとり違うものになっています。他人のメガネをかけても合いません。尿取りパッドも、皮膚の状態、1回の排尿量、排尿までの時間、身体の大きさなど一人ひとりの違いに合わせたパッドを選ばなければいけません。


4.スウェーデンのおむつ事情

 失禁は治療できるものは治療を行い、おむつを使用するのは極力しないようにしています。
 失禁が改善しない場合には、できるだけ小さいパッドを使用して、衣類の上から目立たず快適に過ごせるようにして、尊厳を守るようにしています。尿取りパッドは処方看護師が出す制度になっていて、適切な尿取りパッドが選ばれるようになっています。

テキストダウンロード

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(大分県 社会福祉法人 安岐の郷 特養部門 市原・藤原)

毎週金曜日掲載「全国高齢者ケア研究会 介護の知識50ver.4」第26回 排泄リズムの確認のポイント

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トイレですっきりと排泄していただくためには、その方の排泄状態を把握することが大切です。排泄状態は生理的な排せつの仕組みと個別の排泄状況をふまえ確認します。また、入院によって常時オムツ排泄になった方へのケアについて解説します。最新の知識と技術で、排泄状態の確認と失禁にたいのケアを実践しましょう。

1.排尿、排便に関する基本的理解

病院では、点滴や手術、検査等の治療のためにベッド上で過ごすことが多くなり、オムツの着用を余儀なくされます。失敗がなくトイレで排泄できていた利用者が、中・長期の入院を経て、「常時オムツ排泄」の状態になって施設に戻ってくることがあります。

排泄には、トイレへ行き準備するまでの「抑制」(がまん)、「状況認知」(ここはトイレか?)「排泄の感覚」「排泄」というプロセスがあります。


 オムツの使用で「いつでも、どこでも」排泄していいという状態をつくり出すことで、「状況認知」と「抑制」(がまん)という重要なプロセスを不要としてしまいます。
 「排尿の感覚」は、排泄をうながすシグナルです。状況認知と抑制が不要となった場合には、そのシグナルとしての意味を失います。
 これがオムツ利用者が尿便意を失っていく経過です。


 オムツによる排泄は、ぬれた状態になることで、入居者には不快感があります。皮膚へのダメージもあり、褥瘡や感染症の原因にもなります。


 オムツをつける自分自身への失望感は、自信喪失、生活意欲の低下へとつながります。

2.入院によって常時オムツ排泄になった方へのケア

 排泄状態の確認とトイレでの排尿ができるようになるためには、次のようなアプローチがあります。






A)排泄パターンを知る

・定時にトイレ誘導(難しい場合はオムツの確認)をして、その方の排泄パターンを把握します。

・同時に排泄量を確認し、最も排尿量が多い時間をつかみます。

・最も多い排泄量の時間帯が、その方の排泄のタイミングと仮定します。




B)最も排泄量の多い時間の直前にトイレに誘導する

・最も排泄量の多い時間の直前にトイレに誘導します。

・膀胱の中に溜まった尿を、しっかりと出していただきます。

・総合記録シートにあらかじめ印をつけ、誘導時間が誰でもわかるようにすることが大切です。




C)多量に出たらオムツを外す

・高齢者は若い人にくらべ、膀胱の収縮力の低下や膀胱の蛇口となる括約筋が低下し、膀胱に溜められる尿量が減ります。

・若い人が600㏄ほど溜められるのに対して、高齢者はがまんしても200㏄が限界といわれています。(もちろん個人差があります)
 (第25回「重度の高齢者の『頻便』と『頻尿』を参照」)

・トイレに座り、尿をしっかりと出すことで、膀胱が空になれば、失敗のリスクは軽減します。

・トイレで多量に出た後にオムツを外します。




D)ほめる、励ます、よろこびを共有する
・オムツでの排泄に慣れてしまうと、自分に対する失望感から、生活意欲が低下します。

・トイレでの排泄は、本人が「トイレで排泄したい」という気持ちにならなければ成功しません。

・トイレでの排泄が成功したときに、「すごいですね!」「やりましたね!」「私もうれしいです!」と伝えましょう。

・喜びを共有し、本人に自信と意欲を取りもどしてもらえるよう働きかけます。




3.排便状態の確認とトイレでの排泄ができるようになるまで排便が促されるタイミング、起立性大腸反射と胃、大腸反射

排便習慣は、生活習慣(食事、水分、活動など)に大きく関わっています。排便に関する基本的な知識をふまえ、すっきりとした排泄を目指します。

 腸の活動が活発になるのは、朝起きた後に始まる起立性大腸反射と空っぽの胃の中に水分や食物が入ることによってはじまる胃・大腸反射がおこるときです。
 胃・大腸反射は、食後に起こります。朝食後、昼食後、夕食後の1日3回あります。
朝食後は、起立性大腸反射と胃・大腸反射が重なって起こります。もっともお腹が動いて排便がうながされる時間帯になります。昼食後、夕食後の胃・大腸反射が起こったときに排便がうながされる方もいます。
 朝食後、昼食後、夕食後の3つの時間帯に排泄があるかないか、総合記録シートで確認します。

4.刺激性下剤を服薬している方の場合

 刺激性下剤を常時服薬している方の場合、上記の時間帯に加えて以下のことも観察します。
 看護部門と連携して、刺激性下剤の作用発現時間を確認します。
 介護施設の入居者がよく服用している刺激性下剤の作用発現時間は以下の通りです。
  センノシド、プルゼニド   服用後8〜10時間
  アローゼン         服用後812時間
  ピコスルファートナトリウム、ラキソベロン 服用後7〜12時間

作用発現時間を確認したら、朝食後、昼食後、夕食後、刺激性下剤の作用発現時間あたりに排便があるかないかを総合記録シートで確認します。
そのあとのケアは排尿のときと同じです。
重複しますが、以下に示します。

A)最も排泄量の多い時間の直前にトイレに誘導する


・排便の多い時間、排便量の多い時間の直前にトイレに誘導します。

・腹圧をかけてしっかりと便を出していただきます。

・総合記録シートにあらかじめ印をつけ、誘導時間が誰でもわかるようにしておきます。

B)ほめる、励ます、よろこびを共有する

・オムツでの排泄に慣れてしまうと、自分に対する失望感から、生活意欲が低下します。

・トイレでの排泄は、本人が「トイレで排泄したい」という気持ちにならなければ成功しません。

・トイレでの排泄が成功したときに、「すごいですね!」「やりましたね!」「私もうれしいです!」と伝えましょう。

・喜びを共有し、本人に自信と意欲を取りもどしてもらえるよう働きかけます。



便秘への対応は介護の知識50『第29回端座位がとれる方の自力排便をうながす排泄介助』『第30回下剤の基礎知識と画一的な使用からの抜け出し方』記事を参考にしてください。


排泄状態を把握し、すっきりとトイレで排泄していただくことを目指しましょう。

テキストダウンロード

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次回は 第28回『利用者の状態にあったパットの使い方』大分安岐の郷さんです。

(北海道鷹栖町 鷹栖町特別養護老人ホーム鷹栖さつき苑 相談員 谷本政美)

2020年7月29日

◆毎週水曜日連載『全国高齢者ケア研究会先進事例レポート 認知症ケース 第167回』高齢による体力の低下により、覚醒状態の悪化により食事・水分量が減少した方へのケア(北海道網走市 向陽ヶ丘レインボーハイツ)

 全国高齢者ケア研究会に参加する各施設では、トータルケアに取り組み、先進的なケアを行っています。
 このブログでは、各施設での実践事例を「全国高齢者ケア研究会先進事例レポート」として紹介しています。
毎週水曜日掲載です。
 今回は北海道網走市の向陽ヶ丘レインボーハイツからのレポートです。
 「高齢による体力の低下により、覚醒状態の悪化により食事・水分量が減少した方へのケア」の報告です。
 ケース検討は、基本的にICF(国際生活機能分類、International Classification of Functioning,Disability and Health)の考え方をベースに、BPSD治療アルゴリズム(「かかりつけ医のためのBPSDに対する向精神薬使用ガイドライン第2版」所収)に沿って行っています。

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【基本情報】
 氏名 167様
 年齢 90歳
 性別 女性
 身長 149㎝
 体重 33.7㎏
 要介護 4

【既往歴】
 蓄膿症
 緑内障
 高血圧
 右大腿骨頸部転子間骨折
 左大腿骨転子部骨折

【服薬状況】
 ブロプレス(降圧薬) 朝
 酸化マグネシウム0.5g(緩下剤) 朝・夕

【課題】
 高齢による体力の低下により、覚醒状態の悪化や傾眠による、食事・水分量の低下

【経過】
 R1.12月入所。入所当初は覚醒状態もよく自力で食事摂取できていたが、徐々にスプーンを口元まで持っていけなくなり介助が必要になる。

 R2.5月頃より覚醒状態が悪いことがつづき、食事中に傾眠がみられ首が上を向いてしまったり、うつむくように下を向いてしまったりすることが多くなり、食事でのむせこみや鼻水などの誤嚥症状も出てくる。

 6月中旬に覚醒状態の悪化、食事量の低下により、経過観察のため入院。1週間ほどで体の異常はないとのことで退院されるも、食事時の覚醒状態が悪いことがつづき食事・水分量十分に取れないことが多くみられていた。

 状態改善のため、カンファレンスを開き対応を検討した。

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【要因分析と実施したケア】
 ①高齢のため、体力の低下により離床時に疲れてしまい、傾眠されてしまうのではないか?
 ➡離床時間を食事直前に変更して経過をみるも、食事中に変わらず傾眠や首の傾きみられ、十分な食事・水分量がとれなかったため、無理に離床せずベッド上での介助に変更。ギャッジの高さを少し倒し気味にし、首元から頭を全体的に枕で支えることによって、首の傾きも安定し食事量も上昇した。

 ②水分量が足りず、脱水による傾眠がみられるのではないか?
 ➡覚醒されている時にでも水分介助時に口から吐き出してしまうことがあり、お茶に砂糖を入れたり、ジュースなど比較的甘い物の方が飲みこみがよいため、甘い物を毎回提供することにした。それでも飲めないこともあるため、毎食のお粥にお湯を70ml足してトロミをつけてかさましして提供し、水分量を少しでも確保できるようにした。

 ③栄養不足により体力の低下により、覚醒状態が悪く傾眠につながっているのではないか?
 ➡食事量の低下による栄養状態の悪化を防ぐため、病院受診時に医師と相談し、エンシュアを処方してもらい1日1本飲んでもらうことにした。食事の際に高カロリーのごはんにかけるソースを使い、かけて食べてもらうことで少しでも栄養をとってもらえるようにした。

【結果】
 ベッド上で食事介助をすることで、首の傾きも安定し食事・水分量もアップしました。それに伴い覚醒状態も徐々によくなり、誤嚥の症状も落ち着いてきました。まだ、食事・水分量にムラがあったり、覚醒状態が悪いこともありますが、1日の中で、2食以上はしっかり食べることができるようになり、引き続き上記のケアを実践して経過をみている状況です。

 ベッド上での介助が多くなり、離床時間が減ってしまったので、今後は本人の覚醒状態がよいときやトイレのタイミングなどで離床時間を少しでも作れたらと思っています。

 今後、徐々に状態が落ちてくることが予想され、今後の取り組みとして、看護師と相談し食事量が一定以下に下回った時が2日続いたら、水分量が半分以下が2日続いたらなど、明確な受診のタイミングを決め、すぐに受診し点滴を受けてくるなどの対応を行うようにしています。

 終末期に向けさらに状態が低下してくることが考えられますが、少しでも長い間、施設での生活を穏やかに過ごせるよう職員一同で支えていきたいと思っています。

(北海道網走市 向陽ヶ丘レインボーハイツ 生活支援係長 田宮 匡史)

 次回は8月5日 北海道鷹栖町 なごみの家さんです。
 よろしくお願いいたします。

※関連記事

◆毎週水曜日連載『全国高齢者ケア研究会先進事例レポート 認知症ケース 第166回』入浴拒否、易怒性が強い方が、笑顔で過ごせるようになってきたケース(大分県大分市 特別養護老人ホーム清流苑 )

◆認知症カンファレンスシートがV29になりました。ダウンロードしてください。

◆かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)改訂版が発表されました。

2020年7月27日

毎週月曜日掲載 『 ハピネスオブライフ~ 暮らしの楽しみを求めて 』第354回そーしゃるでぃすたんす(北海道鷹栖町 ぬくもりの家えん)

初夏 採れたての「うど」をいただきました。
天気もいいのでテラスに出てご入居者と一緒に下ごしらえ。

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包丁を上手に使い、手際よく皮をはぎます。

几帳面な性格が出てます。

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そこに幼稚園の子どもたちが中庭をランニング、子どもたちは興味津々!

こども「なぁ~に~これ~」
先生「うどだよ~、おじいちゃんおばあちゃん、皮むきしてるんだって~」

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「おいでおいで~」当然のごとく手招き
一斉に子どもたちがお年寄りのそばへ駆け寄ろうとしますが・・・
「ここまでだよぉ^^」

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さすがはいまの子
しっかり距離をおいて見学です。
いい時間でした^^

(北海道鷹栖町 ぬくもりの家えん 尾上 健介)

次は8月3日 大分県 明治清流苑さんです。よろしくお願いします。

※関連記事
毎週月曜日掲載 『 ハピネスオブライフ~ 暮らしの楽しみを求めて 』第353回 早くも新しい面会スタイルに慣れているご利用者の方々 ( 大分県 国東市 むさし苑 )

2020年7月26日

◆仕事にちょっと行き詰まったときに効果があるかもしれない本 ほぼ毎週水曜日掲載 今週の本&DVD  『彼氏にフラれ仕事もクビ。人生詰んだので「成功の経済学」で運命変えることにした。』  柊木りおん

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『彼氏にフラれ仕事もクビ。人生詰んだので「成功の経済学」で運命変えることにした。』 柊木りおん

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 仕事にちょっと行きづまった人たちにこの本を進めることがある。

 タイトルがすごい。

 「人生詰んだ」って書いてあるからね、うん、仕事に行き詰まったなんていうレベルじゃないんだよね。

 それを「成功の経済学」で変えちゃったっていうんだからさ。

 気になりますよね。

 パラパラっと読めてしまう割には得るものが多い。

 カバーのイラストがパラパラっと読めますよと言っている。

 人生詰んだ人の相談を受けたことはないけど(人生を詰んだ人にはたぶん進めないような気がしますが)、仕事に行き詰まったときには効果があります。

(泉田照雄)

2020年7月24日

🔶毎週金曜日掲載「全国高齢者ケア研究会 介護の知識50ver.4」第25回 重度の高齢者の「頻便」と「頻尿」

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高齢者の一般的な症状として「頻尿」がありますが、重度の高齢者になると「頻便」状態になることも少なくありません。
また、オムツ内で不潔な状態が続いてしまうと「尿路感染症」のリスクも高まります。
そこで今回は、「頻尿」と「頻便」のメカニズムと「尿路感染症」について説明します。

 Ⅰ.メカニズム

A) 頻便のメカニズム
1.座った状態での排便の仕組み

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図版引用元:アイリス
(http://web.kyoto-inet.or.jp/people/irisiris/freestuff/bone_name.html)

 排便するときには主に次の3つの力が働きます。
① 直腸の収縮力
② 腹圧
③ 重力
これら3つの力は、座った姿勢が最も働きます。
座った姿勢では、内臓が「重力」で下がるので「腹圧」がかかります。また、足のふんばりがきくので、腹筋に力を入れやすくなります。
足でふんばり、腹筋に力を入れ、内臓が下がることで腹圧が強まり、直腸の収縮力が助けられます。
2.寝た状態での排便の仕組み

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寝た状態では、重力によって内臓(オレンジの部分)は、背骨の湾曲により胸郭に押し上げられます。これでは排便に重要な力=「腹圧」がかかりづらくなってしまいます。
また便が直腸をすぎ、肛門から排泄されるとき、直腸と肛門の角度(直腸肛門角)が鋭角になります(下図左側)。
ちょうど肛門の前に山ができるような感じになり、便はその「山」を乗りこえなければ排泄されません。
座った状態ですと、直腸と肛門の角度(直腸肛門角)は鈍角になります(下図右側)。

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図版引用元:けあサポ
(http://www.caresapo.jp/fukushi/kihon/kaigo/83dn3a000000c4er.html)

さらに、仰臥位(あおむけ)では、足のふんばりがきかないため、お腹に力を入れるのも困難です。
以上の理由から、臥床姿勢のままでの排便は難しい(1)ことがわかります。

1日のほとんどをベッド上で過ごしている人の多くは、身体の活性が低く、次のようなことがおこっています。
・ 直腸に便がたまり、便秘となる(宿便)
・ 直腸の便の量が増加する
・ 大腸の水分の再吸収(2)が減り軟らかいドロドロの便になる
・ 直腸の内圧が上がり、便がもれるように押し出される
 1日のほとんどをベッド上で過ごす方のオムツを開けるたびに、軟らかい便があり、拭きとっても拭きとっても止まらないという経験は、介護施設で働く誰もが経験していると思います。そのような状態を「頻便」と呼びます。

以上が頻便のメカニズムです。

頻便は肛門周囲のただれや不潔な状態が続くことで、褥瘡や感染症の原因にもなります。
認知症の方が便をさわってしまったり、不隠になったりすることと排便は関連があります。すっきり出ない不快感で、便をさわったり、お腹が気持ちが悪くて不隠になっている方も多いのです。
トイレに座っていただき、自然排便をうながすケアをすることは、認知症ケアの視点からも重要です。

【対応法】
この場合の「自然な排便」には、2つのポイントがあります。
(1)下剤を減らしていく
食事内容を見直すことなどで可能になる場合があります。
   (玄米おかゆ、食物繊維食、ファイバー、水分量等)
(2)座位が可能であれば、できる限りトイレで座って排便。
座位姿勢をとることにより、腹圧、重力を使います。


(実践例)
頻便だったAさんの排便のタイミングを総合記録シートで1か月ほどモニタリングしました。おおよその時間が推測できたので、その時間にトイレへ誘導したところ、1回では流しきれないほどの大量の便が出ました。
その後も総合記録シートで排便がありそうな時刻を推測し、毎回、トイレに座っていただきました。しばらくすると、パット内での排便がなくなりました。
この頃のAさんの排便のタイミングは4日に1度です。
そこで、水分量の見直しと食物繊維の多い食事を提供することとにしました。
それらの効果により、現在は2日に1度、トイレにて排便できるようになりました。


B) 頻尿のメカニズム

① 膀胱の萎縮により、尿をたくさん溜められなくなります
② 腎機能の低下により尿量が増えます
③ 括約筋の低下により、がまんできなくなります
④ 高齢者は、尿意を若者より早く感じ、我慢できる量にも違いがあります。(下図参照)

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尿道括約筋の低下が腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁(3)の原因にもなります。

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図版引用元:キッセイ薬品工業
(http://www.kissei.co.jp/3rd/1/index3.html)

 

Ⅱ.尿路感染症

A)尿路感染症とは

 (原因)
腎臓から尿道までの尿路に起こる感染症で、ほとんどが細菌によって起こります。細菌が外尿道口から入りこんで発症することが多く、尿道が短い女性や高齢者に多いのも特徴です。高齢者介護施設では、便の排泄ケアが不十分だと尿路感染症になりやすいです。

病名は「膀胱炎」「腎盂腎炎」「尿道炎」などです。
今まで元気であった方が急に熱が出た場合、風邪や脱水を疑うことが多いですが、尿路感染も熱の要因となっていることがあります。

(症状)
・尿が濁っている
・尿を出すときに痛む(排尿痛)
・何度もトイレに行く頻尿や残尿感、失禁
・尿が赤い血尿
・腰痛、背部痛で左右の腰のあたりを叩くと鈍い痛みがある
・37℃前後の微熱
・38℃以上の高熱が出たり、その高熱が続く
・吐き気やおう吐、体重が増えない、食欲がない

異常があった場合は、看護と連携をとり医師に報告いたします。


B)予防方法

① 排泄のコントロール。ブリストルスケール4の排泄を目指した介護、看護、栄養のサポート、医療連携が感染症の予防につながります。

② 陰部洗浄の支援など、陰部を清潔に保つ。排便時の清拭は前から後ろに拭く
③ 尿もれパットなどは定期的に交換する
④ 水分をしっかり摂取する
⑤ バルーンカテーテルを留置している方は尿の逆流を防ぐためバックを膀胱より上にしない。ルートキャップの洗浄を毎日行う
⑥ 下半身を冷やさない
⑦ 体調に合わせ適度に運動する
⑧ トイレを我慢しない

≪ 実 践 方 法 ≫
陰部洗浄の方法

① 腰から下の部分に大きめのフラットタイプを敷きます。または使用していたオムツを広げ、水に濡れないようにします。
② 湿らせたガーゼやタオルに、必要に応じて石鹸をつけ、ていねいに陰部を洗います。その後、横向きにして肛門も洗います。
※必ず、前から後ろに向けて洗います。大腸菌が尿道に入り込んで尿路感染症になってしまいます。
③ ボトルなどに入れたぬるま湯をかけて石鹸を洗い流します。
④ 乾いたタオルで肌の水分を拭き取ります。

Photo_20200703172201                

【陰部洗浄用シャワーボトル】
食器洗剤の入れ物やイソジンガーグルの空の入れ物では水の勢いやシャワーになっていないためきれいに流せません。専用のものを使用することをおすすめします。


(頻度)
入浴日以外は毎日行います。1日1回と排便時に行うことで皮膚トラブルを防ぎます。

(注意点)
高齢者は皮脂の分泌が低下しているので乾皮症になりやすい傾向にあります。よって、石けんのつけすぎに注意します。
トイレで排泄しているからといって陰部洗浄が不必要というわけではありません。場合によってはトイレやポータブルトイレでの陰部洗浄を行ってください。(パット使用者はとくに必要)

今のトイレにはウォシュレット機能がついています。シャワーボトルを使用し、トイレで陰部洗浄が難しいケースの場合、さくらの郷では、『ビデ』を使用し陰部洗浄を行っています。性器、陰毛、その周辺をきれいに洗い、清拭を行っています。ウォシュレット自体の清掃も必須です。

※ 陰部洗浄は羞恥心に配慮して、素早くていねいにすることが大切です。

尿路感染の知識や予防方法は、介護職員にとって必要不可欠です。きちんとした予防的ケアをしていれば、尿路感染症になる利用者数を減らすことができます。
介護スタッフは、排泄ケアにたずさわり、利用者の一番近くにいます。尿の濁りやにおいの変化にいち早く気づくことこそ、介護スタッフの重要な役割です。

尿路感染症の要因の多くは大腸菌。
 介護施設では、便の排泄ケアが不十分だと尿路感染症になりやすい。
 尿路感染症のハイリスク者は以下の通り。
 1 軟便。
 2 1日複数回便がある。
 3 パット内排泄で尿量が多い。

尿路感染症の予防には、陰部洗浄とともに排泄ケアが大切であり
ハイリスク者のパット内排泄で尿量が多い方に対しても適切なタイミングで排泄ケアを提供することが可能にならないかということと褥瘡予防や新設加算の排せつ支援加算にも有効ではないかということで三重県松阪市の特別養護老人ホームさくらの郷で膀胱内尿量測定器;リリアムα200を(希望小売価格35万円)デモで使用したときの取り組み内容をご紹介します。
 
≪ 膀胱内尿量測定有効的活用のご紹介 ≫

先日、膀胱内尿量測定を行う【膀胱用超音波画像診断装置;リリアムα200】を借りる機会がありました。病院の方では使用しているケースもあるそうです。取り扱いも簡単です。

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① 排尿間隔が広い女性利用者(インとアウトのバランスが崩れた方)
インとアウトのバランスが崩れているとき、膀胱内をリリアムα200にてエコー測定。すると膀胱内蓄尿は500㏄を超え、約100㏄で尿意を感じる高齢者にとっては考えられない数値…。いち早く看護師に連絡し導尿を実施しました。医師への連絡ツールとして使用できます。
② 終日おむつ内排泄の女性利用者(定時のおむつ交換の方)
 総合記録シート等で失禁がある場合に有効的に活用できます。24時間測定器を装着しどのタイミングに尿量が多く、排泄されているかを測定します。あらかじめ設定してある蓄尿量を超えるとアラーム音が鳴るよう設定します。鳴動後は、モニターを確認し蓄尿量が減った際にパッドを交換。適切な交換時間の見直しができ、また適切なパットの選定にもつながります。おむつ交換の個別ケアのようなものです。
③ 過活動膀胱の女性利用者(頻尿の方)
トイレに頻回に行っている方の場合は排泄前後の蓄尿量を測定し、その後の残尿量を測定することで頻尿の原因を探る情報に役立ち泌尿器科の医師に報告するツールとして活用できます。残尿は頻尿や難治性尿路感染症などの原因となるため対策を講じやすくなります。何よりトイレで過ごす時間を軽減し、楽しい毎日を送っていただくため大切な測定になります。

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※ 主治医と相談して適格な方を適切なタイミングで連携しながら使用してください。  
 

テキストダウンロード - 25v4e7acac25e59b9ee9878de5baa6e381aee9ab98e9bda2e88085e381aee3808ce9a0bbe4bebfe3808de381a8e3808ce9a0bbe5b0bfe3808d.pdf

(大分県大分市 特別養護老人ホーム 清流苑 生活相談員 佐藤・平山)

🔶毎週金曜日掲載「全国高齢者ケア研究会 介護の知識50ver.4」第24回 高齢者の排尿障害の分類とケア

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 高齢者の排泄に関する課題に対しては、要因を検討し、要因に対応した適切な援助をすることが大切です。
今回は、排尿障害(1)の中の尿失禁の分類とケアについて紹介します。

(1)排尿障害:何らかの原因で排尿の困難を認めるもの(頻尿やおしっこが出づらい、残尿感、排尿開始困難、尿失禁等)

Ⅰ.尿失禁の分類

A)機能性尿失禁

【原因】
 膀胱や尿道などの異常ではなく、認知症や大脳の機能障害や運動機能の障害などによって、「トイレの場所がわからない」「トイレまで行くことができない」など、トイレ動作に支障があるために間に合わず失禁してしまいます。

 ケアのポイント
 本人の認知状況やトイレ動作を確認し、困難な部分に対してのサポートを考えます。
≪ポイント1≫
〇 トイレサインを探る。
≪ポイント2≫
〇 トイレの位置がわかるようにする。

(実践例)
1.ウロウロと何かを探している様子があったり、他の部屋に入っていこうとしたりして、落ちつきがない。
・これらの動作をトイレの場所を探している「トイレサイン」と考え、トイレの位置がわかるように扉に目印をつけたり、「トイレ」と少し大きめの字で記します。
・上記のような行動があったときにトイレ誘導をします。

2.椅子から立ち上がろうとされたり、車いすのブレーキを外そうとしたりしている。
・椅子の高さを調節し立ち上がりやすいよう工夫をします。
・手すりの位置を立ち上がりがしやすいように工夫します。
・上記のような行動があったときにトイレに誘導を行います。

B)切迫性尿失禁

【原因】
 膀胱の許容量の減少、膀胱の不随意収縮(2)などの蓄尿機能の障害により、がまんできず失禁することをいいます。他にも前立腺肥大による過活動膀胱が原因となっていることがあります。

(2)膀胱の不髄意収縮:膀胱が勝手に収縮するもので、膀胱の過活動という。原因は神経因性膀胱、加齢、尿路感染などがある

 ケアのポイント
≪ポイント1≫
〇 排尿感覚を少しずつのばす練習(膀胱訓練)ができる方かの見極めを行います。
≪ポイント2≫
〇 なるべくスムーズにトイレで排泄できる環境の工夫。

(実践例)
1.理解力がある方の場合
・がまんをしていただき、少しずつ排尿感覚をのばす練習(膀胱訓練)を行います。最初は、尿意を感じてから15分くらいがまんをしていただき、トイレに行ってもらいます。一カ月くらいをかけて少しずつのばしていきます。

2.理解が難しい方の場合
・趣味活動や興味のあることを行っていただき、トイレへの注意をそらします。いつも頻繁にトイレに行く方が、行事などで1時間たってもトイレに行かないことがあります。

3.理解はできても排尿ができる状態までにもれてしまわれる方の場合
・ベッドからトイレ、フロアからトイレの導線を短くします。
・総合記録シートを見て失禁の時間を把握し、トイレ誘導の時間を決め、尿もれがおこる前に排尿ができるようケアします。
・脱ぎ着をしやすい服装の工夫や室温調整をしてトイレ動作がスムーズにできるよう工夫します。

C)溢流性尿失禁

【原因】
 膀胱から尿を排出する機能が正常に働かず、膀胱から尿がオーバーフローする状態をいいます。寝たきりの方は、臥床位での排尿になるため、尿をしっかりと出しきることができなくなってきます。放置すると尿路感染(3)、腎機能障害などにつながります。男性であれば、前立腺肥大(4)が進行すると残尿量が多くなり、場合によっては尿路閉塞になる方もいます。

(3)尿路感染:尿路に細菌、ウイルス、真菌などが感染することによっておこる感染症

 ケアのポイント
≪ポイント1≫
〇 医療機関との連携(泌尿器科)→放置すると尿路感染や尿路結石、腎機能障害につながるための予防。
≪ポイント2≫
〇 座位姿勢の維持ができるかを見極めます。

(実践例)
1.泌尿器科を受診します。
・ 看護職員と連携をし、すみやかな受診が大切です。
  状態によっては導尿が必要となります。
2.座位姿勢の維持ができる場合は、可能な限り座位で排尿していただきます。
・ トイレに定期的に座ってもらうことで尿の排出が改善されることがあります。

(4)前立腺肥大の図

 50

(図版引用元:ほんだクリニック)(http//www.ooizumihonda.com/urology/04.html)

D 腹圧性尿失禁

【原因】

 膀胱内にある程度尿が貯留した状態のときに、咳やくしゃみなどで腹圧がかかり失禁してしまう状態です。尿道括約筋の働きが弱くなることによりもれてしまいます。

 ケアのポイント

≪ポイント1≫
〇 利用者の生活の中で腹圧がかかる場面の想定。
≪ポイント2≫
〇 尿道括約筋を鍛えるリハビリを行います。

(実践例)
1.腹圧がかかるような活動の前には排尿していただき、膀胱を空にしておきます。
・ 外出や行事、リハビリ実施前にトイレに行っていただきます。
2.骨盤底筋体操をすることで、尿道括約筋を強くし尿もれを予防します。
・ 普段の生活の中やリハビリ時間等に肛門を締めたり緩めたりを繰り返す運動を実施(骨盤底筋(5)を鍛える体操)

(5)骨盤底筋の図
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(図版引用元:ハルンケア)(http//harncare.jp/training/index.html)



E その他の失禁

① 一過性の要因による尿失禁

 せん妄、精神的要因、睡眠剤などの薬物使用、尿路感染症、多尿、運動制限、便秘などによる失禁。

【原因】
 体調不良、脱水、低栄養、臨時薬の使用、泌尿器科系の病気、安静指示などにより、尿失禁する状況になってしまします。

 ケアのポイント


〇 原因となる病気や症状・状態がはっきりしていれば、そのことに対しての治療やケアを行い、状況の改善を図ります。

② オムツ性尿失禁


【原因】

 濡れているオムツが常に当たっていることで、尿意が薄れてしまう状態です。

 ケアのポイント

〇 総合記録シートで排尿間隔をつかみ、最も尿量が多い時間帯にトイレに座り、しっかりと出してもらうようにします。

③ 尿排出障害

【原因】
 前立腺肥大などで尿道が狭くなることにより、「尿が出るまでに時間がかかる」「尿の勢いがない」「頻尿」などの症状がみられるようになります

 ケアのポイント

〇 (C)溢流性尿失禁と同様

Ⅱ 注意点

A)高齢者に多い尿失禁

【機能性尿失禁+切迫性尿失禁】
 認知症や脳梗塞の後遺症などによる障害でトイレ動作が困難となり、加えて加齢に伴う膀胱許容量の収縮があるため、失禁につながっていきます。

B)健常者と高齢者の違い 
                                                   

  健常者 高齢者
 尿の生成

 1200~

 1500cc/日


 1100~

 1200cc/日

 1回の尿量  200cc~300cc  100~150cc
 排尿頻度

 5~6回


 日中6~8回/日

 夜間2~3回/日

 尿流率(6)

 20~30cc/秒

(排尿時間:15~30秒)

 尿流率の低下

 

(6)尿流率:勢いのある尿が出るかどうかの数値。尿量にもよるが、1回の排尿時間が30秒程度であれば健康な状態といえる。
 1分以上かかるようなら、尿の排出障害の可能性がある。

≪ 実 践 方 法 ≫

 失禁がある方のアセスメントとアプローチの手順を紹介します。

① 尿失禁の状況を確認。
② 失禁の分類の仮説を立てます。
③ 総合記録シート(7)で、排尿間隔と排尿量、水分摂取、活動などの関連を確認・把握。
④ 既往歴や服用している薬剤の確認。
⑤ 座位を基本とし、排泄間隔に合わせてトイレ誘導します。
⑥ 必要があれば専門医を受診します。

(7)総合記録シート:総合記録シートテキスト3を参照

 排泄ケアの失敗は、生活への自信を奪い、自らの存在価値さえ否定してしまうほど精神的ダメージが大きい場合もあります。

 排泄ケアは生活すべてに影響を与えてしまう可能性があります。排泄を正しい知識と技術でサポートし、高齢者の尊厳を守るケアを心がけましょう。

* テキストダウンロード

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(北海道網走市 地域密着型老人福祉施設 大曲レインボーハイツ 生活支援課長 横田伸也)

◆毎週金曜日掲載「全国高齢者ケア研究会 介護の知識50ver.4」第23回~介護施設で必要な便秘の知識(下剤依存/便秘の分類)~

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今年は新型コロナウイルスの影響で花火大会も軒並み中止となり大変残念です(2019年夏 足立の花火)

****************************************
高齢者は、老化にともない、代謝機能の低下、水分摂取量が低下し、自然な排便が出づらくなります。
特別養護老人ホームの入居者のなかには、4~5日排便がない人もたくさんいます。
その多くが下剤を常用しないと排便が出ない「下剤依存症」と言われる状態になっています。
また、下剤の使用による腹部の痛みや、不快感で、認知症の周辺症状が悪化しているケースも多くみられます。
高齢者の便秘の分類を理解し、便秘の要因に合わせた適切な介護、看護、栄養サポート、医療連携を行い、下剤に依存せず自然排便をうながすための基礎知識を説明します。

Ⅰ.下剤依存症
1)下剤依存症とは
便を出すことは大切なことです。
しかし、苦痛がないのに本人も施設も「毎日排便しなけらばならない。」「3日に1回は排便がなければならない。」という思いこみから、便を出すことだけが目的となり、下剤に頼り切ってしまう状況があります。
下剤を使用しての排便は一時的には便秘を解消しますが、長期的な下剤の服用は排便する力である『排便力』(※1)を低下させ、下剤を使用しないと排便を得られない「下剤依存症」と言われる状態になってしまいます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(※1)
引用:「排便力」をつけて便秘を治す本(専門医が考える「便意」リハビリ)
    松生恒夫著 マキノ出版(2012/02)
Haibennryoku
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2)下剤の副作用
施設でよく用いられる塩類下剤(酸化マグネシウムなど)は副作用として高マグネシウム血症を引き起こすと注意喚起(※2)されています。
また、アロエやセンナなどの生薬下剤に含まれるアントラキノン誘導体を使用した刺激性下剤(プルゼニド・アローゼンなど)の長期服用は、副作用として大腸メラノーシス(※3)を誘発する可能性が考えられ、長期服用は推奨されていません。
なにより、これらの薬剤は、きちんとしたエビデンス臨床試験を経ているわけではないため、エビデンスに乏しく、どの程度効果があるのか、どのような副作用があるのか、不詳であるとも言われています(※4)。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(※2)
参照:厚労省医薬・生活衛生局 医薬品・医療機器安全性情報 No.328 2015年12月

(※3)
大腸メラノーシス
大黄やセンナ、アロエなどの生薬下剤に含まれるアントラキノン誘導体の長期服用にて、大腸粘膜が黒変し、大腸粘膜内にとどまらず、腸管内の神経にも変化が起き、便秘状態をさらに増悪させることが指摘されています。

(※4)
引用:日本内科学会雑誌106巻11号 医学と医療の最前線「便秘症の診療と治療-最新の進歩」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Ⅱ.便秘の基礎知識
1)便秘とは
日本消化器学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会が作成した『慢性便秘症診療ガイドライン2017』(※5)では、統一された定義がないのが現状ではあるが、便秘は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義しています。
排便習慣は個人差が大きいものです。
毎日排便があっても硬便や排便困難を感じる場合もあり、排便が3~4日に1回で、便が硬くても軟らかくても苦痛を感じない場合があります。
問題となるのは排便困難、腹部膨満、残便感などの症状を伴う便通異常=「便秘症」です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(※5)
編集:日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会(南江社)
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2)便秘の分類と原因
『慢性便秘症診療ガイドライン2017』によると、慢性便秘(症)は以下のように分類されています。
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                      『慢性便秘症診療ガイドライン2017』

(1)器質性便秘
~大腸の形態変化をともなう便秘~
a)狭窄性
狭窄によって便の通過が物理的に障害されることによって生じる便秘。
【原因】主腫瘍疾患・非腫瘍性疾患など

b)非狭窄性
狭窄はないが、大腸の形態変化によって生じる便秘。
➀排便回数減少型
大腸が慢性的に著明な拡張を呈し、便の大腸通過が遅延して排便回数や排便量が減少する便秘。
【原因】巨大結腸など
②排便困難型(器質性便排出障害)
直腸の形態変化にともなって、直腸にある便を十分量かつ快適に排出できない便排出障害のために、排便困難や不完全排便による残便感を生じる便秘。
【原因】直腸癌・S状結腸癌など

(2)機能性便秘
~大腸の形態変化をともなわない便秘~
a)排便回数減少型
排便回数や排便量が減少して、結腸に便が過剰に貯留するために腹部膨満や腹痛などの症状を生じる便秘。
➀大腸通過遅延型
大腸が便を輸送する能力が低下しているために排便回数や排便量が減少する便秘。
【原因】特発性(原因不明)・症候性・薬剤性など
②大腸通過正常型
大腸が便を輸送する能力が正常にもかかわらず排便回数や排便量が減少する便秘。
【原因】食事摂取量や内容物(食物繊維成分)の減少など

b)排便困難型
排便時に直腸内の便を十分量かつ快適に排出できず、排便困難や不完全排便による残便感を感じる便秘。
➀大腸通過正常型
排便回数や排便量が減少していないにもかかわらず便が硬く、硬便のために排便困難や過度の怒責(どせき)(※6)を生じる便秘。
【原因】便秘型過敏性腸症候群
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(※6) 怒責(どせき)
排便時など下腹部に力を入れること。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
②機能性便排出障害
機能的な病気によって、直腸にある便を十分量かつ快適に排出できない排便障害のために、排便困難や不完全排便による残便感を感じる便秘。
【原因】骨盤底筋協調性運動障害・腹圧低下・直腸感覚低下・直腸収縮能力低下など


3)高齢者施設で注意したい便秘と対応
(1)薬剤性便秘
(機能性便秘:排便回数現象型:大腸通過遅延型)
薬剤の影響により便秘になることがあります。
以下が便秘を引き起こす主な薬です。
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【対応】
介護施設でよく服用しているのが降圧剤(カルシウム拮抗薬)や風邪薬の中の「PL」、消化性潰瘍治療薬の「タケプロン」(H2受容体拮抗薬)です。
薬の副作用が影響している中で自然排便へ取り組んでもなかなか効果は得られません。
排泄の状況を医師に伝え、薬に変更等を相談し判断してもらいます。

(2)症候性便秘
(機能性便秘:排便回数減少型:大腸通過遅延型)
次のような病気の一環として便秘になります。
Syoukouseibennpi
【対応】
医療と相談しながら、便秘を引き起こしている疾患を治療する必要があります。

(3)消化管内容物の減少
(機能性便秘:排便回数減少型:大腸通過正常型)
偏食をつづけると、食物繊維の不足から腸内環境が悪くなり、便秘になってしまいます。
繊維質の多い食品や腸内の善玉菌を増やす自然食品の摂取をうながします。
ままた、加齢による食事量の減少も原因となります。
【対応】
利用者の中には、食事量が減ってくる人がいます。
食事量が減り、消化管の内容物が減少していれば便が出にくくなります。
このような場合には、まずは食事ケアに取り組み、食事量を増やすことが重要です。
排泄ケアと食事ケアは連動しています。

Ⅲ.慢性便秘の治療のゴールの共有
日本内科学会 医学と医療の最前線「便秘症の診断と治療-最新の進歩」(※7)では、慢性便秘の治療ゴールは『完全排便』であるとしています。
『完全排便』とは直腸内にたまった便が、排便困難感を伴わずに、すっきり排出され、残便感を伴わない排便のことであると言っています。
また、『完全排便』を目指すこためには、ブリストルスケールのタイプ4(普通便)の排便を目指すことが最も近道と言っています。
つまり、下剤を使わないことや、便を出すことが目的ではない、という多職種間の共通理解が必要となります。

 ≪ブリストルスケール≫
Bristol_scale
                        画像引用:看護roo! 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(※7)
引用:日本内科学会雑誌106巻11号医学と医療の最前線「便秘症の診療と治療-最新の進歩」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Ⅳ.下剤の基礎知識
げざいの基礎知識(分類)と便秘の症状に合わせた排便ケアの方法に関しては、第30回『下剤の基礎知識と画一的な使用からの抜け出し方』で説明します。


※テキストは以下からダウンロードできます。

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(東京都足立区 特別養護老人ホーム千住桜花苑 施設長 木村輝明)


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